お年賀に日本酒を贈る — 新年の挨拶回りに、神奈川の地酒を持参する
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正月の挨拶回りに手ぶらで行く人はいない。だが、何を持っていくかで毎年のように迷う。菓子折りは定番すぎて印象に残りにくく、カタログギフトはお年賀にはやや大仰だ。タオルや洗剤は実用的だが、新年の華やかさには少し欠ける。そこで提案したいのが、蔵元から届く地酒を手土産に持参するという選び方だ。
日本酒を手に玄関先で「あけましておめでとうございます」と差し出す。それだけで新年の挨拶に品格が加わる。正月はもともと日本酒と深い縁がある季節だ。元旦に飲むお屠蘇は本来薬草を浸した酒だし、初詣で神社を訪れればお神酒として日本酒が振る舞われることもある。年の初めに酒を交わすという行為は、日本人の正月文化に根づいている。だからこそ、お年賀として日本酒を贈ることに違和感がない。
お年賀を渡すのは松の内のあいだとされ、関東では1月7日頃まで、関西では1月15日頃までが目安と案内されている。始まりは1月2日以降に持参するものとされることが多い。松の内を過ぎたら「寒中見舞い」に切り替える。
正月に日本酒を手にする。それ自体が、日本の新年にふさわしい所作になる。
この記事では持参する一本の選び方を書く。作法のほうは、時期はお年賀はいつまでに渡すのか、のしはお年賀のしの書き方、金額はお年賀の相場はいくらか、喪中は喪中のときのお歳暮とお年賀に分けた。お菓子以外という切り口ならお年賀はお菓子以外で、相手別に決めたいならお年賀は何がいい?へ。
目次
正月の食卓に合う万能酒 — 白笹鼓 本醸造
お年賀として持参する一本を選ぶとき、まず考えたいのは「相手の食卓に合うかどうか」だ。正月の食事はおせち料理を中心に、雑煮、刺身、焼き魚、煮物と多彩なメニューが並ぶ。甘い料理もあれば塩辛い料理もあり、冷たい肴と温かい椀物が混在する。こうした幅広い味わいに寄り添える酒を選べば、贈られた側が困ることはない。
白笹鼓 本醸造は、その「万能酒」にあたる一本だ。精米歩合65%で、冷やでも燗でも飲める。おせちのように甘い料理と塩辛い料理が並ぶ食卓では、こういう普段の酒のほうが使いやすい。
価格帯も手土産として使いやすい。720mlで1,540円ほどと手頃で、一升瓶(1800ml)は2,970円。「高すぎず安すぎず、ちょうどよい」というお年賀の距離感にぴったりだ。親戚の家、仕事先の上司、ご近所への挨拶と、複数軒を回るときにも負担が少ない。
正月料理に合わない酒はない、と言い切れるのが本醸造の強みだ。食卓を選ばない一本を持参すれば、贈った相手がどんな料理を準備していても困らせることがない。
お年賀に迷ったら、まず本醸造。正月の食卓に静かに寄り添ってくれる。
目上の方への年始挨拶に — 白笹鼓 大吟醸・純米大吟醸
お年賀の相手が目上の方——たとえば仕事でお世話になっている取引先の社長、恩師、配偶者の両親——という場合、本醸造では少し物足りないことがある。もちろん味に不足はないのだが、手土産としての「格」を意識する場面では、ワンランク上の酒を選びたい。
白笹鼓 大吟醸は、山田錦を45%まで磨いた大吟醸。720mlの木箱なしが4,400円、木箱ありが5,500円。木箱入りでの贈答にも対応していて、手渡した瞬間に「ああ、良いものをいただいた」と相手に感じてもらえる佇まいになる。白笹鼓 純米大吟醸はさらに格を上げたい場面に。山田錦を45%まで磨いた純米大吟醸で、仕込みには丹沢山系の伏流水(蔵の井戸・地下約80m)を使っている。720mlで4,950円。木箱入りでの贈答にも対応している。
年始に純米大吟醸を持参して「丹沢の伏流水で仕込んだ神奈川の地酒です」と一言添えれば、それだけで会話が始まる。どこの蔵か、どんな水か、どういう飲み方がいいか——お年賀の手土産が話のきっかけになるのは、地酒ならではの効果だ。
目上の方には大吟醸を。木箱の重みが、年始の敬意をそのまま形にしてくれる。
新年に「土地を醸した酒」を贈るという粋
お年賀にはもうひとつ、面白い選択肢がある。金井酒造店のミライザケだ。ミライザケは秦野という土地の個性を酒に映そうとするテロワールシリーズで、大地・詩歌・奏炎で味わいがそれぞれ異なる。価格は2,200円から。
新しい年のはじまりに、秦野の土地を醸した酒を贈る。「新しい年に、ちょっと特別な酒を」という渡し方はお年賀の趣旨にぴったりだ。受け取った相手が正月に開栓すれば、その年の最初の一杯になる。毎年お年賀を贈る相手なら、大地・詩歌・奏炎と銘柄を替えて持参する楽しみもある。三本三様の個性があるから、「去年と同じものを贈ってしまった」という心配もない。
本醸造や大吟醸と組み合わせて二本セットにするのも良い構成だ。一本は正月の食卓で、もう一本は少し後日にゆっくりと。受け取る側に「どちらから開けようか」という小さな楽しみを渡すことができる。
ミライザケは新年の挨拶にふさわしい「今年だけの一本」。来年もまた届けたくなる。
お年賀の準備 — 年末に注文して年明けに持参する
お年賀は松の内(1月7日まで)に届けるのが原則だが、年始は配送業者も繁忙期に入るため、年明けに注文すると間に合わないリスクがある。確実なのは、年末のうちに注文して自宅に届けておくことだ。12月中に手元に届くよう手配し、年明けに挨拶回りの手土産として持参する。これが最も確実で、品切れの心配も少ない方法だ。
のしを掛ける場合、お年賀の表書きは「御年賀」が一般的。水引は紅白の蝶結びを使う。何度あってもよい挨拶なので、結び切りではなく蝶結びになる。本数は案内によって5本とも7本とも説明される。表書き・名入れ・内のし外のしはお年賀のしの書き方にまとめた。金井酒造店のオンラインストアでは、のしと包装を無料で付けられる。
相手先への直送を希望する場合も対応している。ただし元日から三日の配送を指定する場合は年内早めの注文が必要だ。確実に届けたいなら、12月上旬から中旬に注文を済ませておくのがいい。
お年賀は年末に準備するものだ。年が明けてから慌てて探すより、年末の落ち着いた時間に「この人にはこの一本」と考えながら選ぶ方が、贈る側にとっても良い時間になる。
年末に注文、年始に持参。お年賀は段取りが九割だ。
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