ワインのような日本酒の選び方|白ワイン系・赤ワイン系で見つける一本

「ワインは好きだけど、日本酒も気になる。でもどこから入ればいいかわからない」——そんな人には、まず「ワインのような日本酒」から試してみるという手もある。ワイングラスに注いだ吟醸酒を飲むと、白ワインとの区別がつかないほどフルーティーなタイプがある。

ただし「ワインのような日本酒」と一口に言っても、白ワイン的なものと赤ワイン的なもので方向性がまるで違う。その違いを軸に、選び方を整理してみる。

ワインのような日本酒の選び方|白ワイン系・赤ワイン系で見つける一本 ※ 写真はイメージです


白ワイン系 — フルーティーで冷やして飲む日本酒

ワイン好きが日本酒に入るとき、最初にハマりやすいのがこの系統だ。りんご、バナナ、洋梨のような吟醸香があって、冷やしてワイングラスに注ぐと、見た目も飲み口もほとんど白ワインと区別がつかない。

鍵になるのは「吟醸造り」という製法だ。米を磨いて、低温でゆっくり発酵させることで、果実のような香り成分(酢酸イソアミルやカプロン酸エチル)が生まれる。ワインのようにぶどうの果汁を使っているわけではないのに、果実感が出る。ここが日本酒の面白いところだと思う。

うちの「黒笹 Eden 純米吟醸」(720ml・¥2,200)は、まさにこの系統だ。グラスに注いだ瞬間にりんごとバナナの香りが立つ。温度は8〜10℃くらいが一番バランスがいい。ソーヴィニヨン・ブランやリースリングが好きな人には、きっと気に入ってもらえる一本だと思う。

もう少しライトに入りたいなら「碧笹」もある。酵母77号を使っていて、アルコール度数が低め。軽やかさという点では、ヴィーニョ・ヴェルデに近い立ち位置かもしれない。午後の早い時間から開けても重くならない。

白ワイン系の日本酒を試すなら、まずワイングラスで、冷蔵庫から出して10分後に飲んでみるといい。


赤ワイン系 — 旨味と酸が複雑に絡む日本酒

赤ワイン好きがピンとくる日本酒は、方向性が違う。フルーティーさよりも、旨味の厚み・酸味の骨格・余韻の長さがポイントになる。ピノ・ノワールやシラーを好む人は、こちらのほうが面白いかもしれない。

生酛(きもと)や山廃で造った日本酒には、乳酸由来の酸味と、アミノ酸の旨味が厚く乗る。この「酸と旨味の層」が、赤ワインのタンニンや果実味の層に通じる感覚がある。温度帯も広くて、冷やしても常温でもぬる燗でも崩れない。食中酒としての懐の深さは、赤ワインに近い。

「黒笹 Revive 純米吟醸」(720ml・¥2,200)は、この路線だ。旨味がしっかりあって、酸がそれを引き締める。刺身から肉料理まで合わせられる。ブルゴーニュのピノが好きで「日本酒も飲んでみたい」という人には、一番話が早い。

赤ワイン系の日本酒を探すときに見るべきスペックを整理しておくと——

  • 酸度 1.8以上:酸の骨格がある
  • アミノ酸度 1.5以上:旨味の厚み
  • 日本酒度 -2〜+3あたり:甘すぎず辛すぎず

ただし、数値だけで決めるのは限界がある。同じスペックでも蔵ごとに味が全然違うので、最終的には飲んで確かめるしかない。

赤ワイン好きには、生酛系や旨味の強い純米酒から入ってみると、日本酒の世界がぐっと広がるかもしれない。


ロゼワイン系 — 古代米が生む色と味わい

あまり知られていないが、日本酒にもピンク色のものがある。古代米(赤米・黒米)を使って仕込むと、米の色素が溶け出して淡いロゼ色になる。見た目はまさにロゼワインだ。

うちの「緋笹」がこのタイプで、古代米由来のやわらかい甘酸っぱさがある。ロゼ・ダンジューやプロヴァンスのロゼが好きな人には、驚きのある一本だと思う。花見やピクニックに持っていくと、日本酒を飲んだことがない人も手を伸ばしてくれる。

ワインのような日本酒の選び方|白ワイン系・赤ワイン系で見つける一本 — ロゼワイン系 — 古代米が生む色と味わい ※ 写真はイメージです


ワインと日本酒の共通言語

ワインを飲み慣れている人は、テイスティングの言葉をすでに持っている。実はその言葉、日本酒にもそのまま使える。

アロマ。日本酒にも「上立ち香(うわだちか)」と「含み香(ふくみか)」がある。ワインのトップノーズとパレットアロマに対応する。吟醸酒のりんご香、生酛のヨーグルト香、古酒の蜂蜜香——ワインと同じように、香りだけで何分でも遊べる。

ボディ。日本酒にもライトボディからフルボディまである。碧笹のような低アルコールタイプは明確にライト。Reviveのような旨味系は、ミディアムからフルに近い。ワインと同じ感覚で「今日は軽いのが飲みたい」「しっかりしたのがいい」と選べる。

フィニッシュ。余韻の長さも、日本酒選びの重要な軸だ。吟醸系はすっと消えるショートフィニッシュ、生酛系は口の中に旨味が残るロングフィニッシュ。ワインのテイスティングノートをそのまま日本酒に書いてみると、意外なほどしっくりくる。

ワインの語彙をそのまま持ち込むと、日本酒の世界は最初から解像度が高い状態で見えてくると思う。

ワインと日本酒の対応関係をもっと詳しく知りたい方は、ワイン好きのための日本酒ガイドもあわせてどうぞ。黒笹シリーズの詳細も参考になると思う。


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