大吟醸でレモンサワーを作るとどうなるか — 酒蔵だけが知っている答え
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大吟醸でレモンサワーを作るとどうなるか — 酒蔵だけが知っている答え
レモンサワーのベースといえば、焼酎かウォッカ——ほとんどの方がそう思うのではないでしょうか。ところが、神奈川・秦野の山あいに、あえて大吟醸をベースに選んだ酒蔵があります。明治元年創業の金井酒造店です。「なぜ大吟醸なのか」。その答えは、酒を造る側にしかわからない、ある発見から生まれました。
そもそも大吟醸とは何か
日本酒には「精米歩合」という概念があります。米の外側を削り、中心部だけを使って醸すことで、雑味のもととなるタンパク質や脂質を取り除くのです。大吟醸は、この精米歩合が50%以下——つまり、米の半分以上を削り落として初めて名乗ることができます。
削れば削るほど、残る米は少なくなります。コストは跳ね上がり、手間も倍増します。さらに大吟醸の醸造には、酵母が繊細な香り成分(酢酸イソアミルや酢酸エチルなど)を生み出しやすい低温発酵が欠かせません。タンクの温度管理を一定に保ちながら、長い時間をかけてゆっくりと発酵させる——その結果として生まれるのが、華やかで透明感のある「吟醸香」と、雑味をそぎ落とした澄んだ酒質です。
酒蔵にとって大吟醸は、技術と時間と素材のすべてを惜しみなく注ぎ込む、特別な一本です。
焼酎・ウォッカ・大吟醸——ベースが変わると何が変わるか
レモンサワーの味わいは、ベースとなるお酒の個性に大きく左右されます。
焼酎ベースは、原料由来の風味がしっかりと残るのが特徴です。麦や芋、米などの素材感がレモンと混ざり合い、どこかふくよかでボリューム感のある味に仕上がります。一方、ウォッカベースはほぼ無味無臭に近く、レモンの酸味と甘味をストレートに伝えますが、同時に「のっぺりした」印象になりやすい面もあります。
では、大吟醸ベースはどうか。
精米歩合50%以下まで磨き抜いた米からできた大吟醸は、雑味がほとんどありません。クリアでありながら、低温発酵由来の上品な香りを持っています。焼酎のように主張しすぎず、ウォッカのように無個性でもない——そこに、レモンサワーのベースとしての可能性があります。
大吟醸ベースだと、レモンが前に出る
雑味がないということは、レモンの邪魔をしないということです。
果汁の酸味、皮に宿るフレッシュなアロマ、飲み込んだ後に広がる余韻——これらはすべて、ベースとなるお酒の「ノイズ」が少ないほどクリアに感じられます。大吟醸の澄んだ酒質は、まるで透明なステージのように、レモンの個性をそのまま舞台に立たせます。
さらに、大吟醸に宿る吟醸香は、レモンのフルーティーなアロマと共鳴します。柑橘系の香りと吟醸香は、互いを打ち消すのではなく、重なり合って奥行きを生む。これは、蔵で大吟醸を扱ってきた者だからこそ気づける、酒質の特性でした。
焼酎ベースでは出せない透明感、ウォッカベースでは出せない香りの奥行き。大吟醸ベースのレモンサワーは、その両方を持っています。
名水百選の水が、ベースの品質を決める
金井酒造店が蔵を構えるのは、神奈川県秦野市。丹沢山地を源とするこの地の水は、環境省の「名水百選」にも選ばれた、日本でも有数の良水です。
水は日本酒の仕込みに欠かせない素材であり、酒質を決定づける要素のひとつです。秦野の水は、丹沢の山々が長い年月をかけてろ過した、ミネラルバランスの整った清冽な軟水。この水で仕込んだ大吟醸は、優しく、しなやかで、余韻が長い。
明治元年の創業以来、金井酒造店がこの地で酒を醸し続けてきた理由のひとつは、まさにこの水にあります。百五十年以上の時間をかけて培った、水との対話——それが、クラッチュのベースとなる大吟醸の底に流れています。
湯河原やまげんのレモン果汁40%との掛け算
大吟醸というベースを決めた次に問われたのは、「どのレモンか」でした。
選ばれたのは、神奈川県湯河原の農家「やまげん」が手がける湘南潮彩レモンです。温暖な湘南の気候と、山の清涼な空気が交わる湯河原は、国内有数のレモン産地のひとつ。やまげんのレモンは、皮まで使えるほど丁寧に育てられた、香り豊かな国産レモンです。
クラッチュ 湘南潮彩レモン40は、この果汁を惜しみなく40%配合しています。市販のレモンサワーの多くが果汁数%〜10%台であることを考えると、40%という数字がいかに突出しているかがわかります。
大吟醸のクリアな酒質 × 果汁40%のレモン。これは単純な「割り算」ではなく、互いの長所を引き出し合う「掛け算」です。
実際の味わい
グラスに注ぐと、まず鼻をくすぐるのはレモンの皮のような、はっきりとしたアロマです。その奥に、ふわりと感じる吟醸香。この二層の香りが、口に含む前から期待感を高めます。
口に入れた瞬間、果汁40%の酸味が鮮烈に広がります。しかしその酸は、とげとげしくない。大吟醸の滑らかな口当たりに包まれているから、レモンの酸味は「鋭い」ではなく「鮮やか」と表現したくなる質感です。
アルコール度数は25度。甘さは控えめで、後味はすっきりとした余韻が続きます。食中にも、食後にも、あるいは暑い日の一杯目にも馴染む、懐の深い飲み口です。
レモンサワーに飽き足りなさを感じていた方に、一度試してほしい。焼酎ベースとも、ウォッカベースとも、明らかに違う体験が待っています。
酒蔵が作るレモンサワーの、必然
大吟醸でレモンサワーを作るとどうなるか——その答えは、飲んだ人それぞれが感じるものだと思います。ただ、造り手として言えることがあるとすれば、「大吟醸ならではの透明感が、素材の本質を伝える」ということです。
明治元年から酒を醸し続けてきた金井酒造店が、名水百選の秦野の水と、丁寧に育てられた湯河原のレモンと向き合って辿り着いた一本。クラッチュ 湘南潮彩レモン40は、酒蔵だからこそ知っている答えを、そのまま瓶に詰めたお酒です。
クラッチュ 湘南潮彩レモン40 / 大吟醸ベース・湘南潮彩レモン果汁40%・アルコール25度・720ml ¥2,750(税込)/ 金井酒造店(神奈川県秦野市)明治元年創業
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