日本酒ハイボールと焼酎ソーダ割り、どっちが好み?

焼酎のソーダ割りと日本酒のソーダ割り(日本酒ハイボール)。どちらも炭酸で割る飲み方だが、出来上がる飲み物の性格はかなり違う。

焼酎のソーダ割りは家飲みの定番として定着している。一方で日本酒をソーダで割る「日本酒ハイボール」も、ここ数年で広がってきた飲み方だ。両方を比べてみると、それぞれの良さがはっきり見えてくる。

日本酒ハイボールと焼酎ソーダ割り、どっちが好み? ※ 写真はイメージです 左が焼酎ソーダ割り、右が日本酒ハイボール。見た目はほとんど同じだが、口に含むと全然違う。

焼酎ソーダ割りの味わい——クリアで潔い

まず焼酎のソーダ割りから。甲類焼酎のソーダ割りはほぼ無味無臭で、炭酸の刺激だけが口の中を走る。レモンを搾ればレモンサワーになるし、何も入れなければただの「シュワッとしたアルコール」だ。これはこれで気持ちいい。

芋焼酎や麦焼酎をソーダで割ると、もう少し表情が出る。芋の甘い香りがふわっと立ち上がったり、麦のさらっとした穀物感がほんのり漂ったり。ただ、どれも共通しているのは「ドライ」であること。余韻がすっと消えて、口の中をリセットしてくれる。脂っこいものを食べたあとの一口が、気持ちいいくらいに潔い。

焼酎ソーダ割りの魅力は、この「消える感覚」にあると思う。主張しない。料理の邪魔をしない。だからこそ何杯でも飲めるし、どんな料理の横にも置ける。

日本酒ハイボールの味わい——旨味が残る

次に日本酒ハイボール。グラスに口をつけた瞬間、焼酎ソーダ割りとの違いがはっきりわかる。炭酸の泡が弾けたあとに、米の甘みと旨味がじわっと広がるのだ。

焼酎ソーダ割りが「消えていく」飲み物だとしたら、日本酒ハイボールは「残る」飲み物だ。喉を通り過ぎたあとも、口の中にやわらかい余韻がある。鼻から抜ける香りも、焼酎のそれとは質が違う。吟醸酒を使えばフルーティーな香りが炭酸に乗ってくるし、熟成した酒なら丸みのある落ち着いた香りになる。

ここが好みの分かれるところだ。食事中に「味をリセットしたい」のか、「味を重ねたい」のか。焼酎ソーダ割りは前者、日本酒ハイボールは後者。どちらが正解ということではなく、その日の気分や料理によって「欲しい一杯」が変わる。

料理との相性

唐揚げには、正直どちらも合う。焼酎ソーダ割りは脂をすっきり流してくれるし、日本酒ハイボールは衣の香ばしさと米の甘みが重なって「ああ、旨いな」という感覚になる。

差が出たのは、刺身のときだった。白身の刺身に焼酎ソーダ割りを合わせると、魚の味が少し薄く感じる。悪くはないが、水を飲んでいるのと大差ない気がした。日本酒ハイボールだと、刺身の旨味と酒の旨味が手をつなぐような感覚がある。もともと日本酒と刺身の相性がいいのは当然だが、炭酸が入ることでさらに軽やかになって、箸が止まらなくなる。

逆に、スパイスの強い料理——たとえば麻婆豆腐や青椒肉絲には、焼酎ソーダ割りのほうがしっくりきた。辛さと旨味が口の中で渋滞しているところに、焼酎ソーダ割りが全部流してくれる。日本酒ハイボールだと、酒の甘みと料理の辛味がちょっとぶつかる感じがあった。

日本酒ハイボールと焼酎ソーダ割り、どっちが好み? — 料理との相性 ※ 写真はイメージです 刺身には日本酒ハイボール、中華には焼酎ソーダ割り。結局「どっちも置いておく」が正解かもしれない。

度数とコスパを比べると

実用的な話もしておく。

焼酎は25度のものが多い。ソーダで1:3に割ると約6度くらいになる。日本酒は15度前後だから、ソーダで1:1に割ると約7〜8度。割ったあとのアルコール度数は、実はそこまで変わらない。

コスパはどうか。一升瓶の焼酎は1,500円前後から手に入る。一升瓶で約10杯のソーダ割りが作れるとすると、一杯あたり150円くらい。日本酒は一升瓶で1,800円〜2,500円くらいが一般的で、1:1で割るなら同じく10杯前後。一杯あたり180〜250円。焼酎のほうが少し安いが、缶ビールや缶チューハイを買うよりは、どちらもずっと経済的だ。

どちらも「家飲みの炭酸割り」としてのコスパは十分に高い。冷蔵庫に炭酸水さえあれば、すぐに一杯作れるという手軽さも共通している。

「割るために造った日本酒」の存在

日本酒ハイボールを試すうえで知っておきたいのは、使う酒で味が大きく変わるということだ。

普通の日本酒をソーダで割ると、銘柄によっては「薄い」「水っぽい」と感じることがある。日本酒はもともと割ることを想定して造られていないものが多い。だから割ると味のバランスが崩れてしまう場合がある。

うちの蔵では、この問題を解決するために「SAKE for Highball(サケフォーハイボール)」を造った。ソーダで割ることを前提に、最初から味わいのバランスを設計した日本酒だ。杉の香りをつけているのは、ウイスキーが樽の香りで奥行きを出すのと同じ発想。そして一年以上熟成させることで、角が取れたまろやかな味わいになっている。

丹沢山系の名水百選に選ばれた伏流水で仕込んでいるから、炭酸で割ったときの口当たりがなめらかだと思っている。硬水で仕込んだ酒を割ると角が立つことがあるが、丹沢の水にはそれが少ない。

焼酎ソーダ割りが好きな人にこそ、一度試してみてもらいたい。「日本酒のソーダ割りもアリだな」と思える一杯になるんじゃないかと思う。作り方やアレンジレシピはこちらにまとめている

結局、どっちが好みか

両方を比べてみると、「どっちかひとつ」は選びにくい。

ガツンと辛い料理や脂っこいものを食べるときは、焼酎ソーダ割りのクリアさが欲しくなる。刺身や煮物のように素材の味を楽しむ料理のときは、日本酒ハイボールの余韻が心地いい。平日の晩酌で何も考えずに飲むなら焼酎ソーダ割りだし、週末にちょっと丁寧に飲みたい気分なら日本酒ハイボールを作る。

どちらも炭酸で割るという共通点はあるが、出来上がる飲み物の性格はかなり違う。その違いを知っておくと、冷蔵庫の前に立ったときの選択肢が広がると思う。

焼酎派の人も、日本酒派の人も、まだ「両方試したことがない」なら、一度並べて飲んでみるのもいい。自分の好みが、思っていたのと違うかもしれない。

焼酎から日本酒への乗り換えを考えている人には、焼酎好きのための日本酒ガイドも参考になると思う。日本酒ハイボールの作り方やアレンジをもっと詳しく知りたい方は、日本酒ハイボールの専用ガイドもあわせてどうぞ。


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