焼酎好きにこそ試してほしい日本酒の飲み方

「日本酒は甘くて重いから自分には合わない」——焼酎好きの人からよく聞く言葉だ。芋焼酎や麦焼酎のキレに慣れていると、日本酒のストレートが重たく感じるのは無理もない。

でも、日本酒をソーダで割って飲んでみると印象がかなり変わる。焼酎のソーダ割りが好きな人なら、日本酒ハイボールも試してみる価値がある。

この記事では、焼酎好きの味覚から逆算して、日本酒に入りやすい飲み方をまとめた。

焼酎好きにこそ試してみてほしい日本酒の飲み方 ※ 写真はイメージです


焼酎好きが日本酒を敬遠する3つの理由

焼酎を好む人が日本酒を避ける理由は、だいたい3つに絞られる。

「重い」 — 焼酎のソーダ割りや水割りに慣れていると、日本酒のストレート15度はたしかに重い。焼酎だって25度あるが、水割りやロックで飲むから実質7〜10度くらいで口に入っている。日本酒をそのまま飲めと言われたら、そりゃ重く感じる。

「甘い」 — 芋焼酎や麦焼酎のキレのある味に慣れた舌には、日本酒の米由来の甘みが「もたつく」ように感じることがある。特に安い居酒屋で出てくる常温の普通酒を飲んで苦手になったパターンが多い。

「高い」 — 焼酎はボトルキープ文化もあって、1杯あたりのコスパが良いイメージがある。「大吟醸は1合800円」と言われると、芋焼酎のボトル1本の値段とそう変わらないわけで、割高に見える。

この3つ、実はどれも「日本酒をストレートで飲む」前提の話だ。その前提を外すと、景色がまるっきり変わる。


「割る」という共通言語

焼酎好きの人に日本酒を勧めるとき、いちばん話が通じるのが「割る」という飲み方だ。

焼酎をソーダで割る。お湯で割る。水で割る。焼酎の世界では「割って飲む」のが当たり前だ。むしろストレートで飲む人のほうが少ない。

日本酒も同じことができる。日本酒をソーダで割る「日本酒ハイボール」は、ここ数年で海外のバーから火が付いた飲み方で、国内の飲食店にも広がってきている。1:1で割ればアルコール度数は7〜8度。焼酎のソーダ割りとほぼ同じだ。

焼酎のソーダ割りとの違いは、炭酸の中に米の甘みと吟醸香がふわっと立ち上がるところ。焼酎(特に甲類)は割り材として「消える」設計だが、日本酒は割っても「残る」。その残り方が嫌味じゃなくて心地いい。芋焼酎の風味が好きな人なら、この「割っても個性が消えない」感覚はむしろ気に入るかもしれない。

ただし注意点がひとつ。普通の日本酒をソーダで割ると、銘柄によっては薄く感じることがある。うちではこの問題を解決するために、ソーダで割ることを前提に味を設計した「Sake for Highball(サケフォーハイボール)」を造った。杉の香りを纏わせて一年以上熟成させているから、割っても味がぼやけない。焼酎好きの人にも好評だ。8種類のアレンジレシピもあるので、気に入ったらいろいろ試してみるのもいい。


1杯あたりの単価を比べてみる

「焼酎のほうがコスパいい」という印象は根強い。実際どうなのか計算してみた。

芋焼酎(一升瓶 約2,000円)のソーダ割り: 25度を1:3で割ると1杯あたり約300ml。一升瓶から6杯取れるとして、1杯あたり約330円。ソーダ代を足すと約380円。

サケフォーハイボール(720ml 約1,500円)のソーダ割り: 1:1で割ると1杯あたり約250ml。720mlから5〜6杯取れるとして、1杯あたり約280円。ソーダ代を足すと約330円。

思ったより変わらない。「日本酒は高い」は、四合瓶の大吟醸をストレートで飲む前提の話であって、割って飲むなら焼酎とほぼ同じ土俵に立てる。


レモンサワーの入り口 — 焼酎じゃないレモンサワー

レモンサワーといえば焼酎+レモン+ソーダ。それが常識だと思っている人が多い。

でもレモンサワーのベースは焼酎じゃなくてもいい。ウォッカでもジンでも、そして日本酒でも作れる。

うちのクラッチュ 湘南潮彩レモン40は、大吟醸と醸造アルコールをベースにしたレモンサワーの素だ。レモンは神奈川・湯河原産100%で、果汁率40%。糖類なし、香料なし、酸味料なし。720mlで2,750円、アルコール度数は25度。

焼酎好きにこそ試してみてほしい日本酒の飲み方 — レモンサワーの入り口 — 焼酎じゃないレモンサワー ※ 写真はイメージです

焼酎ベースのレモンサワーは「シャープでドライ」だ。甲類焼酎は味を消す設計だから、レモンの酸味とアルコールのキックだけが残る。それはそれで旨い。

クラッチュで作るレモンサワーは方向が違う。大吟醸由来の米の甘みがレモンの酸味を包み込んで、まろやかに仕上がる。焼酎ベースが「切れ味」なら、クラッチュは「余韻」だ。飲み終わった後に、レモンと米の香りがほのかに口の中に残る。

好みは人によって分かれる。焼酎ベースのキレが好きな人もいれば、清酒ベースのまろやかさのほうが飲み疲れしないという人もいる。優劣の話じゃなく好みの問題だ。ただ、焼酎一筋の人が「こういうレモンサワーもあるのか」と知ること自体に意味があると思っている。レモンサワーの作り方バリエーションも参考になると思う。


焼酎好きが選ぶなら、こういう日本酒

レモンサワーやハイボールを入り口にして「日本酒そのものも飲んでみようかな」となったとき、何を選べばいいか。焼酎好きの味覚から逆算すると、合いやすいタイプがある。

芋焼酎が好きな人 → 旨みの強い純米酒か、熟成酒。芋焼酎の「ふくよかさ」に慣れた舌は、純米酒の米の旨みを素直に受け取れる。燗にするとさらにいい。

麦焼酎が好きな人 → すっきりした純米吟醸。麦焼酎のクリーンな味わいに慣れている人は、吟醸系の華やかさを「フルーティー」として好意的に受け取ることが多い。

泡盛が好きな人 → 古酒(長期熟成酒)。泡盛の古酒が好きな人は、日本酒の熟成酒にある独特の深みとコクにもハマりやすい。

甲類焼酎のソーダ割り派 → まず日本酒ハイボールから。甲類のソーダ割りは「味のない爽快感」を求めているわけだから、日本酒ハイボールの「味のある爽快感」は新鮮に映ると思う。

共通して言えるのは、「最初の一杯を常温のストレートにしない」こと。冷やすか、割るか、温めるか。焼酎好きは「温度と割り方で味を調整する」のが日常だから、日本酒でも同じアプローチをとれば入りやすい。コスパが気になる人は焼酎と日本酒の1杯あたりの価格比較も参考になると思う。割って飲めば意外と変わらない。


焼酎と日本酒は、敵じゃない

焼酎の世界と日本酒の世界は、なぜか対立構造で語られがちだ。「焼酎派」「日本酒派」みたいに。でも原料が違うだけで、どっちも日本の発酵文化から生まれた酒だ。

焼酎好きの人が日本酒を飲んでみて、気に入ればそれでいいし、やっぱり焼酎のほうが好きならそれでもいい。ただ「日本酒は甘くて重い」という10年前の記憶だけで避けているなら、割って飲む日本酒を一回だけ試してみるのもいい。印象がだいぶ変わるかもしれない。


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