自己商標酒類卸売業免許とは — 自分のブランドのお酒を卸すための、あまり知られていない免許
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※ 写真はイメージです
この記事は2026年9月15日時点の国税庁の公表内容にもとづいて書いています。制度は変わることがあるので、実際に申請される際は必ず最新の情報をご確認ください。
自分のブランドのお酒をつくった。それを酒販店に置いてもらいたい。そう考えたとき、「卸す」ための免許が必要になります。
そして、あまり知られていないのですが、自分で開発したブランドのお酒を卸すための専用の免許があります。自己商標酒類卸売業免許といいます。
お酒をつくる側として、この免許の存在を知らずに卸すのをあきらめてしまうのはもったいないと感じています。国税庁の公表内容を整理します。
自己商標酒類卸売業免許とは
国税庁の法令解釈通達では、こう定められています。
自己商標酒類卸売業免許とは、自らが開発した商標又は銘柄の酒類を卸売することができる酒類卸売業免許をいう
一文だけの定義ですが、ポイントははっきりしています。「自らが開発した」商標や銘柄のお酒に限って、卸売ができる免許です。
よその銘柄を仕入れて卸すための免許ではありません。自分が名前をつけ、自分のブランドとして世に出したお酒を、酒販店などの売り手に卸すための免許です。
「小売」と「卸売」は別の免許
ここは混同しやすいところです。お酒の販売業免許は、誰に売るかで大きく分かれます。
| 売る相手 | 免許の区分 |
|---|---|
| 消費者に売る 飲食店に売る 菓子などの製造業者に売る |
酒類小売業免許(一般・通信販売など) |
| 酒販店に売る 酒の製造者に売る |
酒類卸売業免許 |
ここで間違えやすいのが飲食店です。国税庁の通達では、小売の相手は「消費者、料飲店営業者又は菓子等製造業者」とされていて、料飲店営業者とは酒場や料理店など、お酒を自分の店で飲ませる営業をする人のことです。
つまり居酒屋や料理店にお酒を納めるのは「卸売」ではなく「小売」にあたります。卸売の相手は、酒販店(酒類販売業者)と、お酒の製造者です。
自分のブランドのお酒を酒販店に置いてもらいたいなら卸売の免許、飲食店に使ってもらいたいなら小売の免許、ということになります。両方やりたい場合は、それぞれ考える必要があります。
卸売業免許にもいくつも種類がある
卸売業免許は1種類ではありません。国税庁の通達では、次のような区分が定められています。
- 全酒類卸売業免許 原則として全ての品目の酒類を卸売できる
- ビール卸売業免許 ビールを卸売できる
- 洋酒卸売業免許 果実酒・ウイスキー・リキュールなど洋酒の品目を卸売できる
- 輸出入酒類卸売業免許 輸出・輸入される酒類を卸売できる
- 店頭販売酒類卸売業免許 会員登録した酒類販売業者に店頭で引き渡す
- 協同組合員間酒類卸売業免許 加入する事業協同組合の組合員に卸売する
- 自己商標酒類卸売業免許 自らが開発した商標・銘柄の酒類を卸売する
- 特殊酒類卸売業免許 酒類事業者の特別の必要に応ずるもの
このなかで「自分のブランドを持ちたい人」に向けてつくられているのが、自己商標酒類卸売業免許です。
お酒は「つくる」ところから始まる
ただし、卸す免許があっても、お酒そのものをつくるには別に製造免許が必要です。個人や酒蔵以外の会社が自分で醸造するのは、現実的ではありません。
だから自分のブランドのお酒を持ちたい場合は、既にある酒蔵に委託してつくり、それを自分の銘柄として売る、という形が現実的です。
自分のブランドのお酒を持つまで
つくる 酒蔵に委託醸造(OEM)してもらう
酒販店に卸す 自己商標酒類卸売業免許
消費者・飲食店に売る 一般酒類小売業免許/通信販売酒類小売業免許
ネットで消費者に売る場合の免許の考え方は通信販売酒類小売業免許とはにまとめています。地域の特産品を原料に委託してつくったお酒には、通信販売の免許のうえで特別な扱いもあります。
つくるところは、蔵がお手伝いできます
私たちの蔵でも、オリジナルの日本酒づくりのご相談をお受けしています。神奈川県秦野市で明治元年から酒を醸してきた蔵です。清酒と、清酒を使ったリキュールの製造免許を持っています。
当蔵のお酒を御社のラベルで仕立てる形なら、720ml 36本(3ケース)から、納期は1ヶ月程度です。原料から仕込む場合は、日本酒で12ヶ月程度かかります。
この記事は免許の区分と考え方をまとめたものです。自己商標酒類卸売業免許の具体的な要件、申請書類、審査の内容はここでは扱っていません。申請にあたっては、所轄の税務署、または酒類の免許申請を扱っている行政書士にご相談ください。
出典(2026年9月15日確認)
自己商標酒類卸売業免許の定義、小売と卸売の販売相手、卸売業免許の区分:国税庁 法令解釈通達 第9条 酒類の販売業免許
販売業免許の必要性:国税庁 お酒に関するQ&A【販売業免許関係】
※ 制度は改正されることがあります。申請の際は必ず国税庁および所轄税務署で最新の内容をご確認ください。