スパークリング日本酒とは|シャンパンと同じ造り方もある、泡の日本酒3つの選び方
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乾杯の一杯といえばシャンパン、という場面は多い。お祝いの席でも、年末の集まりでも、最初にグラスに注がれるのはたいてい泡のお酒だ。
その泡を、日本酒で用意することもできる。スパークリング日本酒と呼ばれるものだ。ただ、ひとくちに泡の日本酒といっても、泡のつくり方がいくつかあって、それによって泡の細かさも、見た目も、飲み口も変わる。
私たちも夏に泡の日本酒を造っている。その立場から、泡の日本酒にはどんな種類があって、何を見て選べばいいのかを書いておく。
スパークリング日本酒とは
スパークリング日本酒は、炭酸ガスを含んで泡が立つ日本酒のことだ。原料は普通の日本酒と同じで、米と米麹と水。そこに泡が加わる。
日本酒はもともと、発酵の途中でずっと炭酸ガスを出している。酵母が糖を食べてアルコールに変えるとき、同時に炭酸ガスも生まれるからだ。普通の日本酒は、そのガスを逃がしてから瓶に詰める。スパークリング日本酒は、そのガスを酒の中に閉じ込めたもの、あるいは後から加えたものだ。
泡のつくり方は大きく3つ
泡をどうやって酒の中に入れるかで、大きく3つに分けられる。呼び方や分け方は資料によって少しずつ違うが、おおむね次のとおりだ。
| つくり方 | 泡の入れ方 | 特徴 |
|---|---|---|
| 炭酸ガス注入 | できあがった日本酒に、後から炭酸ガスを入れる | 手頃な価格のものが多い。澄んだ見た目 |
| 二次発酵 | 酒の中でもう一度発酵させ、自然に炭酸ガスを生む。瓶の中で行うものと、タンクの中で行うものがある | 泡がきめ細かいとされる。瓶の中で行うのは、シャンパンと同じ考え方 |
| 活性にごり | 発酵中のもろみを、火入れせずに粗く濾して瓶に詰める。瓶の中でも発酵が続く | 白くにごる。米の粒が残り、口当たりに厚みがある |
造り方の分け方は、SAKE TIMES「スパークリング日本酒はどうやって造るの?」などの解説を参考にした(2026年10月26日に確認)。
発酵が続くタイプ(瓶の中で二次発酵させたものや、活性にごり)は、瓶の中のガスの圧が高い。開けるときに吹き出しやすく、保存の仕方によっては瓶に負担がかかる。扱いには少し気をつけたい。
白くにごった日本酒そのものについては、にごり酒とはで詳しく書いている。
シャンパンと何が同じで、何が違うか
乾杯の泡といえばシャンパンなので、比べてみる。
同じところは、泡のつくり方だ。シャンパンは、瓶の中でもう一度発酵させて泡を生む。スパークリング日本酒のうち「瓶内二次発酵」でつくるものは、これと同じ考え方で泡をつくっている。後からガスを入れるのではなく、酒の中で生まれた泡だ。
違うところは、原料だ。シャンパンはブドウからつくるワインで、日本酒は米と米麹からつくる。だから泡は似ていても、味の土台が違う。ブドウの果実の酸味に対して、日本酒は米の旨味が下に流れる。
もうひとつ。「シャンパン(シャンパーニュ)」という名前は、フランスのシャンパーニュ地方で、決められた造り方で造られた発泡ワインだけが名乗れる。日本酒の泡は、どれだけ同じ造り方でも「シャンパン」とは呼ばない。
どちらが上ということではない。食事との合わせ方や、その場の雰囲気で選べばいいと思う。和食の席や、日本の土地のものを出したい場面なら、日本酒の泡は話のきっかけにもなる。
「awa酒」という認定
スパークリング日本酒を調べていると「awa酒(AWA SAKE)」という言葉に出会う。これは一般社団法人awa酒協会が、一定の基準を満たした泡の日本酒に与えている認定だ。協会は2016年に設立が発表された。
基準のおもなところは、報道などでは次のように紹介されている。
- 泡は醸造中の自然な発酵だけで生まれたもの(後から炭酸ガスを加えない)
- 20℃で3.5バール以上のガス圧がある
- 原料は米・米こうじ・水だけで、国産の米を使う
- 見た目が透明で、注ぐと泡が立ち上る
- アルコール分が10度以上
- 火入れをして、常温でも品質が安定している
二次発酵は瓶の中でもタンクの中でもよいとされている。つまり「awa酒」は、自然な発酵でしっかりした泡を持ち、透明で、品質が安定した泡の日本酒ということになる。にごったものや、生のまま(火入れしない)のものは、この認定の対象にはならない。
正式な最新の基準は、awa酒協会の公式の情報で確かめてほしい。
出典:永井酒造「一般社団法人 awa酒協会 設立のお知らせ」、SAKE TIMES「awa酒協会 設立発表記者会見レポート」(2026年10月26日に確認)
で、どれを選べばいい?
種類が分かったところで、たぶん本当に知りたいのは「自分はどれを選べばいいのか」だと思う。場面と好みで分けると、こうなる。
| こんなとき | 選ぶなら | 理由 |
|---|---|---|
| シャンパンの代わりに乾杯したい | 瓶内二次発酵のもの/awa酒 | 泡がきめ細かく、透明なものはグラスに注いだ見た目もシャンパンに近い |
| 気軽に飲みたい・まず試したい | 炭酸ガス注入のもの | 手頃なものが多く、扱いもやさしい |
| 米の旨味ややわらかさも欲しい | 活性にごり/うすにごり | 米の粒が残って、泡に厚みがある。食事と合わせやすい |
| お酒があまり強くない人と飲む | 度数の低めのもの | 泡の日本酒には、普通の日本酒より度数を低めにしたものもある。ラベルの度数を見て選ぶ |
迷ったら、ラベルの「瓶内二次発酵」「活性」「にごり」といった言葉と、アルコール度数を見るといい。その2つで、泡の強さと見た目、飲み口のおおよその見当がつく。
おいしく飲むために
よく冷やす。泡のお酒は冷えているほうが泡が落ち着き、すっきり感じる。
グラスはワイングラスかシャンパングラス。細長いグラスなら泡が立ち上るのが見えるし、口のすぼまったワイングラスなら香りを感じやすい。おちょこより、乾杯の場面にも合う。
開けるときは、ゆっくり。発酵が続くタイプは瓶の中の圧が高いので、急に開けると吹き出すことがある。よく冷やしてから、栓を少しずつゆるめてガスを逃がしながら開ける。
生のものは冷蔵庫で。火入れをしていない生のタイプは、冷蔵で保管して、開けたら早めに飲みきる。
蔵の泡、夏笹しゅわり
私たち金井酒造店(神奈川県秦野市)も、夏に泡の日本酒を造っている。「夏笹しゅわり」という純米発泡生だ。

夏笹しゅわり 純米発泡生(夏の季節限定)
造り方は瓶内二次発酵。シャンパンと同じ考え方で、瓶の中で生まれた泡を閉じ込めている。精米歩合65%の純米で、アルコールは12度。微発泡のうすにごりで、火入れをしていない生のまま出している。
うすにごりで生なので、上に書いた「awa酒」の認定とは別のものだ。透明でしっかりした泡を目指すawa酒に対して、しゅわりは米のやわらかさを残した、軽い泡の酒になっている。
蔵では、よく冷やして薄張りのワイングラスやシャンパングラスで飲むのを勧めている。前菜や冷製パスタ、カルパッチョのような洋食とも合う。
しゅわりは夏の季節限定なので、いまは出していない。次に出すときは、オンラインストアとメールマガジンでお知らせする。
よくある質問
スパークリング日本酒とは何ですか?
炭酸ガスを含んで泡が立つ日本酒です。原料は普通の日本酒と同じ米・米麹・水で、発酵で生まれた炭酸ガスを酒の中に閉じ込めたもの、または後から炭酸ガスを加えたものがあります。
スパークリング日本酒とシャンパンの違いは何ですか?
原料が違います。シャンパンはブドウからつくるワインで、日本酒は米と米麹からつくります。一方、瓶の中でもう一度発酵させて泡を生む「瓶内二次発酵」は、シャンパンと同じ考え方の造り方です。なお「シャンパン」はフランスのシャンパーニュ地方で決められた造り方で造られた発泡ワインだけが名乗れる名前です。
スパークリング日本酒はどうやって泡をつくるのですか?
大きく3つです。できあがった日本酒に後から炭酸ガスを入れる方法、酒の中でもう一度発酵させて自然に泡を生む方法(瓶の中で行うのが瓶内二次発酵)、発酵中のもろみを火入れせずに瓶に詰めて瓶の中で発酵を続けさせる活性にごりです。
awa酒とは何ですか?
一般社団法人awa酒協会が、一定の基準を満たした泡の日本酒に与えている認定です。泡が自然な発酵だけで生まれていること、20℃で3.5バール以上のガス圧があること、透明であること、アルコール分10度以上、火入れをして品質が安定していることなどが基準とされています。正式な基準は協会の公式の情報で確かめてください。
シャンパンの代わりに乾杯に使えますか?
使えます。瓶内二次発酵のものや、透明でしっかりした泡のものは、シャンパングラスに注いだ見た目も近くなります。和食の席や、日本のものを出したい場面では話のきっかけにもなります。
スパークリング日本酒はどう飲むのがおいしいですか?
よく冷やして、ワイングラスやシャンパングラスで飲むのがおすすめです。冷えているほうが泡が落ち着いて、すっきり感じます。
開けるときに気をつけることはありますか?
発酵が続くタイプは瓶の中の圧が高いので、急に開けると吹き出すことがあります。よく冷やしてから、栓を少しずつゆるめてガスを逃がしながら開けてください。
金井酒造店にスパークリング日本酒はありますか?
夏の季節限定で「夏笹しゅわり」という純米発泡生を造っています。瓶内二次発酵で、精米歩合65%、アルコール12度のうすにごりです。夏季限定のため、いまは販売していません。