神奈川の湧水スポット — 名水百選の水を飲みに行く
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「神奈川で湧水が飲める場所がある」と聞いて、ピンとくる人はどのくらいいるでしょうか。横浜や鎌倉のイメージが強い神奈川ですが、県西部に目を向けると、丹沢山塊の麓に清らかな湧水が今も静かに湧き出しているスポットがいくつもあります。しかも、そのうちのひとつは環境省の「名水百選」にも選ばれた本物の名水。ペットボトルを持って出かけたくなる、神奈川の湧水スポットをご紹介します。
丹沢の伏流水が湧き出す秦野盆地。市街地のすぐそばに名水スポットが点在します。## 秦野盆地湧水群 — 神奈川が誇る「名水百選」
神奈川の湧水といえば、まず外せないのが秦野盆地湧水群です。1985年(昭和60年)に環境庁(現・環境省)が選定した「名水百選」のひとつで、神奈川県内では唯一の選定地。丹沢山塊に降り積もった雨や雪が長い年月をかけて地中に浸透し、秦野盆地の各所から澄んだ水となって地表に現れます。
秦野市内には湧水スポットが複数あり、市が整備した「湧水スポット巡り」のルートを歩きながら、それぞれの場所で水を汲むことができます。各スポットの詳細は秦野の湧き水ガイドにまとめています。
弘法の清水(弘法山公園周辺)
弘法大師ゆかりと伝わる湧水で、地元の人々に長年親しまれてきたスポット。弘法山公園の遊歩道沿いにあり、ハイキングの途中に立ち寄れます。ちょろちょろと湧き出る水音だけが響く、静かな佇まいです。
出雲大社相模分祠そばの湧水
秦野市にある出雲大社相模分祠のそばにも湧水スポットがあります。参拝がてら立ち寄れるアクセスのよさが魅力。週末にはポリタンクを持参した地元の方の姿も見かけます。
今泉名水桜公園
市街地の中にありながら、湧水が流れる小川と桜並木を楽しめる公園。春は花見客でにぎわいますが、湧水が飲めるスポットとしても知られています。水汲み場が整備されているので、初めて訪れる方にもわかりやすいのがうれしいところです。
葛葉緑地の湧水
秦野市北部、丹沢の山裾に近い葛葉緑地も湧水の名所。周囲を木々に囲まれた静かな緑地で、都市の喧騒を忘れてしばらくぼんやりしていたくなる場所です。水量が豊富で、地元住民の水汲みスポットとして昔から使われています。
週末には地元の方がペットボトルやポリタンクを手にやってきます。秦野市では「はだの湧水スポットマップ」を観光協会や市の窓口で配布しており、各スポットへのアクセスや水汲み可能な時間帯を確認できます。小田急線「秦野駅」を起点に、バスや徒歩でまわれるルートもあるので、日帰りのおでかけにちょうどいい規模感です。
神奈川のその他の湧水スポット
秦野以外にも、神奈川にはいくつか湧水が楽しめるスポットがあります。
箱根・芦ノ湖周辺 — 火山地形と豊富な降水量に恵まれた箱根は、各所に清冽な湧水が点在します。観光地として整備されたスポットも多く、温泉とあわせて楽しめます。
大山(伊勢原市) — 「雨降山」の別名を持つ大山は古くから水の山として知られ、山麓には豆腐料理の店が立ち並びます。その豆腐に使われるのも、大山から湧き出る水です。
丹沢・中川温泉周辺 — 丹沢山系の奥、神奈川県西部に位置するこのエリアは、山深く手つかずの自然が残るゾーン。渓流沿いに歩けば、山から直接染み出す湧水に出会えることもあります。
箱根や丹沢にも、山の恵みが滲み出す湧水スポットが点在しています。## 名水でできること — コーヒー、お茶、そして酒
せっかく名水を汲んだなら、その水ならではの使い方を楽しんでみてください。
**コーヒーを淹れる。**軟水である日本の湧水は、コーヒーの抽出に適しています。同じ豆でも、水が変わると味の印象がやわらかくなり、雑味が少ないすっきりとした一杯に仕上がります。キャンプやアウトドアで現地の湧水を使って淹れるのもいいですし、汲んで帰って自宅で丁寧に一杯、というのもおすすめです。
**お茶を入れる。**お茶も水の影響を大きく受ける飲み物のひとつ。ミネラル分が少ない軟水は茶葉の旨みを素直に引き出してくれるので、緑茶や煎茶との相性が抜群です。神奈川といえば足柄茶も有名ですから、地元の茶葉と地元の湧水を組み合わせてみるのも一興です。
**そして、酒を造る。**日本酒の原料の大部分は水です。酒造りにとって水がいかに重要か — それを体現してきたのが、秦野盆地に根を下ろす酒蔵たちです。
名水を使った一杯は、いつもとどこか違う味わいがあります。## 金井酒造店 — 150年以上、この水で酒を醸してきた蔵
秦野市にある金井酒造店は、明治時代から続く酒蔵です。蔵が建つ場所は、まさに秦野盆地湧水群の恩恵を受けるエリア。丹沢山塊から長い時間をかけて濾過された伏流水を仕込み水として使い、150年以上にわたって酒を造り続けてきました。
名水百選に選ばれた水が、そのまま酒になる。それがどういうことか — ぜひ一度、グラスを傾けながら想像してみてください。口に含んだとき感じる静かな旨みの奥に、丹沢の山と、秦野の大地と、長い年月が溶け込んでいます。
湧水スポットを訪れた帰り道に、地元の酒蔵の酒を一本手に取ってみる。そういう旅の締めくくりも、神奈川らしくていいものだと思います。
秦野の湧水とともに歩んできた蔵、金井酒造店。## さいごに
神奈川の湧水スポットは、知る人ぞ知る存在でした。でも一度足を運んでみると、その水の清らかさと、それを育んできた山の深さに、思わず立ち止まってしまいます。ペットボトルを一本持って、電車で秦野まで行ってみてください。名水百選の水が、蛇口をひねるでもなく、地面からそっと湧き出しているのを目にしたとき — 神奈川の、もうひとつの顔に出会えるはずです。
水のある風景は、いつもより少しだけ、時間の流れをゆっくりにしてくれます。 ※ 湧き水・天然水は水質が変動する場合があります。飲用の際は現地の案内表示や各市区町村・環境省の公式情報をご確認の上、自己責任でご判断ください。
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