菜の花台展望台とヤビツ峠 — 秦野の穴場絶景スポットと蔵元の酒

菜の花台展望台とヤビツ峠 — 秦野の穴場絶景スポットと蔵元の酒 ※ 写真はイメージです

神奈川県で「絶景スポット」と言えば、箱根か江の島か、みなとみらいの夜景か。そのあたりが定番だろう。でも秦野市の山の中に、それらとはまったく趣の異なる絶景がある。菜の花台展望台。標高560メートルの展望台から、秦野盆地を越えて相模湾までが一望できる。晴れた日の視界は驚くほど広く、江の島や三浦半島、遠くは伊豆大島の影まで見えることがある。

この展望台がある県道70号線は、秦野市街地からヤビツ峠へと続く山岳道路だ。ヤビツ峠は標高761メートル。関東のロードバイク乗りなら誰もが知る「聖地」であり、週末ともなれば全国からサイクリストが集まる。菜の花台はその途中、峠の手前にある。つまり、ヤビツ峠を目指す人は全員この絶景ポイントを通過するということだ。にもかかわらず、神奈川県外での知名度はまだ高くない。控えめに言って、穴場である。

秦野市はいま、「神奈川の観光穴場」として静かに注目を集めはじめている。表丹沢のネイチャーアクティビティ、名水百選に選ばれた湧き水群、弘法山のハイキングコース。そして2028年頃には新東名高速道路の秦野丹沢サービスエリアが開業し、東京方面からのアクセスがさらに改善される見込みだ。菜の花台展望台とヤビツ峠は、そんな秦野の魅力を凝縮したような場所。ここを知っているかどうかで、秦野の楽しみ方はまるで変わってくる。


菜の花台展望台——相模湾まで見渡す空中テラス

秦野市街地から県道70号線を北に向かう。蓑毛の集落を抜けると、道はつづら折りの山道に変わる。標高が上がるにつれて木々の間から視界が開けてきて、「あ、いい景色だな」と思いはじめた頃に、左手に駐車スペースと展望台が現れる。それが菜の花台だ。

展望台は木製のデッキで、手すりの向こうに秦野盆地がまるごと広がっている。盆地の向こうには湘南の海岸線が横たわり、その先に相模湾の青がどこまでも続く。空気が澄んでいる冬の朝には、江の島のシルエットがくっきりと浮かび上がり、水平線の向こうに伊豆大島が見える。春には眼下の山肌に桜が点在し、秋には紅葉がパッチワークのように広がる。季節ごとにまったく違う顔を見せるのが、この展望台の懐の深さだ。

菜の花台という名前の由来について、菜の花が咲いているからだと思っている人が多い。実際は地名に由来するのだが、春先に黄色い花が山肌に見えることもあって、名前と景色がなんとなく一致してしまう。その偶然の一致が、訪れた人の記憶に残りやすい理由かもしれない。

もうひとつ、菜の花台展望台が特別なのは夜景だ。秦野盆地の夜景は、盆地という地形のおかげで光が一面に広がる。展望台から見下ろすと、街灯やビルの明かりが盆地の底に溜まるように輝いていて、その奥には湘南の海岸沿いの光の帯が続く。山の上から見る夜景は、都市部のそれとは空気感がまるで違う。静かで、暗くて、だからこそ光が美しい。秦野の夜景は「日本夜景遺産」にも認定されたことがあり、知る人ぞ知る夜景の名所でもある。

駐車場は展望台のすぐ横にあり、車を停めてすぐに絶景を楽しめる。ドライブの途中で5分だけ立ち寄る、という気軽さもこの場所の良さだ。


ヤビツ峠——ロードバイク乗りの聖地、その先の風景

菜の花台展望台とヤビツ峠 — 秦野の穴場絶景スポットと蔵元の酒 — ヤビツ峠——ロードバイク乗りの聖地、その先の風景 ※ 写真はイメージです

菜の花台展望台からさらに県道70号線を登ること約10分、ヤビツ峠に到着する。標高761メートル。丹沢登山の主要な入口のひとつであり、塔ノ岳や三ノ塔への登山口がここから分岐する。しかし近年、ヤビツ峠の名前を全国区にしたのは登山ではなく、自転車だ。

ヤビツ峠は、関東を代表するヒルクライムコースとして、ロードバイク愛好家の間で「聖地」と呼ばれている。名古木(ながぬき)の交差点から峠までの約12キロ、標高差約650メートルを一気に駆け上がるコースは、適度な勾配と距離のバランスが良く、初級者から上級者まで楽しめる。タイムを競う「ヤビツアタック」は半ば通過儀礼のようなもので、30分を切れるかどうかが一つの壁だとされる。

週末の午前中、名古木の交差点に立つと、数分おきにサイクルジャージ姿の人たちが峠に向かって走り出していくのを見ることができる。春から秋のシーズン中は、峠の頂上は自転車で賑わい、達成感に満ちた顔のサイクリストたちがお互いのタイムを報告し合っている。ヤビツ峠にはレストハウス「丹沢MON」がリニューアルオープンしており、峠に着いた達成感とともにひと息つける場所がある。

サイクリストではない人にとっても、ヤビツ峠は十分に魅力的だ。峠からは表丹沢の尾根道が見渡せ、天気が良ければ富士山の頭がのぞく。空気は市街地より明らかにひんやりしていて、夏場でも涼しい風が吹く。登山をしなくても、車で峠まで来て景色を眺め、菜の花台に戻って写真を撮り、ゆっくり市街地に降りていく——それだけで半日のドライブコースとして十分に成立する。

ヤビツ峠からは裏ヤビツと呼ばれる北側の道が宮ヶ瀬湖方面へ続いている。こちらは渓谷沿いの静かな道で、ドライブにもサイクリングにも気持ちがいい。ただし道幅が狭い区間があるので、通行の際は注意が必要だ。

ヤビツ峠は「登る」ための場所であると同時に、「降りてきた後の楽しみ」がある場所でもある。峠を制覇した後のご褒美は、秦野の街が用意してくれている。


秦野という穴場——なぜいま注目されているのか

菜の花台展望台とヤビツ峠 — 秦野の穴場絶景スポットと蔵元の酒 — 秦野という穴場——なぜいま注目されているのか ※ 写真はイメージです

「神奈川の観光」と聞いて、秦野を最初に思い浮かべる人はまだ少ないだろう。横浜、鎌倉、箱根、江の島——神奈川には全国区の観光地が揃っている。秦野はその陰に隠れてきた。しかし裏を返せば、観光地化されすぎていない、ということだ。混雑を避けて自然の中でゆっくりしたい人にとって、秦野はかなり理想に近い場所である。

秦野市は表丹沢のネイチャーアクティビティを積極的に推進しており、登山、トレイルラン、キャンプ、森林セラピー、川遊びなど、自然の中で体を動かすアクティビティが充実している。弘法山ハイキングコースは小田急線の秦野駅から歩いて行けるし、戸川公園には秦野戸沢キャンプ場がある。環境省の名水百選に選ばれた湧水群もあり、水汲みだけを目的に訪れる人も多い。

東京から小田急線で約70分、横浜からも約1時間。高速道路は東名秦野中井インターチェンジが最寄りで、さらに新東名高速道路の秦野丹沢インターチェンジが2022年に開通した。2028年頃にはこのインターチェンジに隣接するサービスエリアが開業予定で、首都圏からのアクセスと認知度がさらに向上すると見込まれている。まだ多くの人が気づいていない「穴場」としての秦野を楽しめるのは、いまのうちかもしれない。

菜の花台展望台とヤビツ峠は、そんな秦野のポテンシャルを体感できる入口だ。展望台で景色に驚き、峠で達成感を味わい、市街地に降りてきて温泉に入り、湧き水を汲み、地元の酒蔵に立ち寄る。一日かけてゆっくり巡れば、秦野が「穴場」と呼ばれる理由がわかるだろう。

観光地のように整備されすぎていないからこそ、自分だけのコースを見つける楽しさがある。それが秦野という場所の本質だ。


ドライブ・サイクリングコースと蔵元への寄り道

菜の花台展望台とヤビツ峠を軸にした、おすすめの周遊コースがある。車でもロードバイクでも楽しめるルートだ。

車の場合、秦野市街地から県道70号線に入り、蓑毛方面へ北上する。つづら折りの山道を登りはじめて15分ほどで菜の花台展望台に到着。展望台で景色を堪能してからさらに10分走ればヤビツ峠だ。峠で休憩した後は、来た道を戻るか、裏ヤビツ経由で宮ヶ瀬湖方面に抜けるか、好みで選べる。来た道を戻る場合、県道70号を下って秦野市街地に入ったら、国道246号線方面へ進み、渋沢方面を目指す。

自転車の場合は、小田急線渋沢駅をスタート地点にするのが定番だ。渋沢駅から名古木の交差点まで約4キロ。そこからヤビツ峠までの約12キロがヒルクライム区間となる。峠まで登り切ったら、来た道を下りながら菜の花台展望台で絶景を楽しむ。下りは景色を見る余裕があるから、登りでは気づかなかった風景に出会える。

どちらのルートでも、市街地に降りてきた後に立ち寄ってほしい場所がある。明治元年(1868年)創業の金井酒造店だ。秦野市堀山下182-1、渋沢駅から徒歩約25分、新東名の秦野丹沢インターチェンジからは車でわずか5分の場所にある。

金井酒造店の直売所は月曜から土曜の9時から17時まで営業しており、蔵元でしか手に入らない限定品も含めて、酒を試して買うことができる。代表銘柄の白笹鼓(しらささつづみ)は、秦野の名水で仕込んだ地酒だ。丹沢の伏流水で醸された酒は、この土地の水の良さをそのまま映している。ヤビツ峠を走り切った後の一杯として、あるいは峠の絶景の余韻とともに持ち帰る一本として、白笹鼓はぴったりの選択肢だろう。

サイクリストの方には、クラッチュ 湘南潮彩レモン40もおすすめしたい。レモンのリキュールで、帰宅後にソーダ割りにすれば疲れた体に染み渡る。ヒルクライムのご褒美として、蔵元の酒をバックパックに忍ばせて帰る——そんな楽しみ方を提案したい。

菜の花台の絶景、ヤビツ峠の達成感、そして蔵元の酒。秦野を一日で味わい尽くすコースの締めくくりは、金井酒造店の直売所がふさわしい。


アクセス情報

金井酒造店への最寄りは小田急線渋沢駅で、徒歩約25分。車の場合は新東名高速道路の秦野丹沢インターチェンジから約5分、東名高速道路の秦野中井インターチェンジからは約15分だ。菜の花台展望台へは秦野市街地から県道70号線を北上して約20分、ヤビツ峠へはそこからさらに約10分。秦野丹沢インターチェンジから菜の花台展望台までは約30分の道のりとなる。

菜の花台展望台とヤビツ峠、そして金井酒造店の直売所。この三つを結ぶと、秦野という穴場の魅力を一日で体感できるルートが完成する。週末のドライブやサイクリングの目的地として、まだ多くの人が知らないこの場所を、ぜひ訪れてみてほしい。

金井酒造店のお酒は、オンラインストアからもお求めいただけます。蔵元直送で、秦野の水が育てた酒をご自宅までお届けします。

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