日本酒の選び方がわからない人へ — 蔵元の無料診断で「自分に合う一本」が見つかる
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居酒屋のメニューを開くと、日本酒のページに並ぶ名前がどれも同じに見える。大吟醸、純米吟醸、特別純米。漢字が多いのはわかるけれど、それぞれ何がどう違うのか、どれが自分に合うのか、さっぱりわからない。
この感覚は、あなただけのものではない。
日本酒の銘柄は全国に15,000以上あり、同じ蔵元でも造り方の違いで5種類、10種類とラインナップが並ぶ。ワインにソムリエがいるように、日本酒にも「選ぶための知識と経験」が本来は必要で、でもそれを持っている人は多くない。だから居酒屋で「おすすめください」と頼むか、パッケージの雰囲気でなんとなく選ぶか、あるいは「とりあえずビール」でやり過ごすことになる。
もったいない、と蔵元として思う。あなたに合う一本は確実にあるのに、出会う方法がないだけだ。
「辛口ください」で失敗する理由
日本酒を頼むときに最もよく使われるフレーズが「辛口ください」だろう。すっきりしたのが飲みたい、甘ったるいのは嫌だ、という気持ちからそう言う。でもこれが実はうまくいかないことが多い。
日本酒の「辛口」「甘口」は、日本酒度というひとつの数値で表されることが多い。プラスなら辛口、マイナスなら甘口。だがこの数値は糖分の残量を示しているだけで、飲んだときの印象とは必ずしも一致しない。酸味が強ければ辛く感じるし、旨味が厚ければ甘く感じる。同じ日本酒度+5でも、酸度やアミノ酸度が違えばまったく違う味になる。
つまり「辛口ください」は「赤い服をください」くらいの精度でしか伝わらない。素材もデザインもサイズも指定していないのに、似合う一着が出てくることを期待しているようなものだ。
日本酒を上手に選ぶには、辛口甘口ではなく、もう少し別の切り口が必要になる。
知識がなくても「合う一本」を見つける方法
では何を基準に選べばいいのか。蔵元の立場から言えば、大事なのは3つだけだ。
どんな場面で飲むのか。 家でリラックスしたいのか、食事と合わせたいのか、誰かに贈りたいのか。場面が変われば合う酒も変わる。晩酌の一杯に大吟醸はもったいないし、贈答に普通酒では味気ない。
ふだん何を飲んでいるのか。 ブラックコーヒーが好きな人と、フルーツジュースが好きな人では、好む味わいの方向がまったく違う。日本酒の経験がなくても、ふだんの飲み物や食べ物の嗜好から好みの味わいは推測できる。
温度にこだわりがあるか。 冷やして飲むのか、常温か、燗か。日本酒は温度帯で味わいが大きく変わる飲み物で、銘柄によって向き不向きがある。冷酒専用の酒を燗にしても美味しくないし、燗向きの酒をキンキンに冷やすと持ち味が死ぬ。
逆に言えば、この3つさえわかれば「あなたに合う一本」はかなりの精度で絞れる。酒屋の店頭なら店主に聞けばいいし、蔵の直売所なら売り場のスタッフが選んでくれる。
問題は、それがオンラインではできなかったこと。
蔵元AIという試み
私たち金井酒造店は、神奈川県秦野市で明治元年から酒を造っている蔵元だ。秦野は環境省の名水百選にも選ばれた水どころで、表丹沢の伏流水——ミネラルを含む中硬水が、うちの酒の味わいの土台になっている。
全部で22銘柄。定番の白笹鼓から、ライスワインを目指したササノメグリ碧笹、大吟醸ベースのレモンリキュール「クラッチュ」まで、かなり振れ幅がある。だからこそ「どれを選べばいいかわからない」という声をよくいただく。
その声に応えるために作ったのが「蔵元AI」というオンライン診断だ。
6つの質問に答えるだけで、蔵元の全銘柄の中からあなたに合う一本を選ぶ。質問の内容は、先ほど書いた「場面」「好みの飲み物」「温度帯」に加えて、日本酒の経験レベルと予算。答え終わるのに1分もかからない。
裏側では、各銘柄の味覚プロファイル(甘味・旨味・酸味・苦味・香り)とあなたの回答をマッチングしている。おすすめ10選のような「誰にでも当てはまるランキング」ではなく、あなたの嗜好に基づいたパーソナルな選定だ。
日本酒の種類を「覚える」必要はない
日本酒の選び方を解説する記事の多くは、まず種類の説明から入る。純米酒とは、吟醸酒とは、本醸造とは。それぞれの造り方と特徴。確かに知っていれば選びやすくはなる。だが覚えなくても選ぶ方法があるなら、そちらのほうが早い。
ワインを選ぶとき、ブドウの品種名を暗記してから酒屋に行く人は少ない。「軽くて飲みやすいの」「肉に合うやつ」と言えば、店員が選んでくれる。日本酒も同じでいい。
蔵元AIは、あなたが日本酒の種類を知らなくても使える。「居酒屋で時々飲む」「レモンサワーが好き」「冷やして飲みたい」——こうした日常の好みから、蔵元の22銘柄の中で最も近い味わいの一本を探し出す。
種類を覚えるのは、気に入った一本を見つけた後でいい。「この酒は純米吟醸というのか」と、飲んだ後に知るほうが記憶にも残る。もし種類に興味が出てきたら「日本酒の種類と選び方」で体系的にまとめているので、そちらを読んでみるのもいい。
苦手な人にこそ試してみるのもいい
「日本酒は苦手」という人は多い。でもそれは「合わない酒に出会ってしまっただけ」であることがほとんどだ。
苦手の理由は大きく分けて4つある。アルコール感が強い、味が重い、香りが気になる、飲んだ翌日がつらい。どれも本当のことだが、それは飲んだ酒がたまたまそういう酒だっただけで、日本酒の全体を代表しているわけではない。
たとえばうちの「SAKE for Highball」は、ソーダで割って飲むために設計した酒だ。度数は15度だが、割れば7度程度になる。炭酸の爽快感と米の甘みが合わさって、ほとんどの人が「これが日本酒?」と驚く。梅酒好きの人には「ウメザケ」がある。日本酒ベースの梅酒で、甘すぎず、梅の酸味がしっかり効いている。
入口は人それぞれでいい。最初の一本が日本酒らしくなくても構わない。そこから少しずつ守備範囲を広げていくのが、蔵元としては一番嬉しい。
蔵元AIの最初の質問は「日本酒の経験は?」だ。「ほとんど飲んだことがない」を選んでも、ちゃんと合う一本が出てくる。むしろそういう人のために作った。
選び方は、出会い方だ
日本酒の選び方がわからないのは、恥ずかしいことではない。15,000銘柄のなかから自分に合う一本を見つけるほうが難しい。
大事なのは、最初の一本との出会い方だ。居酒屋でたまたま頼んだ一杯が、その後の酒人生を変えることもある。でも「たまたま」に頼らなくても、もう少し確度の高い出会い方がある。それが蔵元AIの目指すところだ。
6つの質問。1分の診断。蔵元の全銘柄から選ばれた一本。
試してみてほしい。