レモンサワーとは — 高果汁レモンサワーが「レモンサワー」の概念を変える

レモンサワーとは何か。答えはシンプルだ。焼酎やスピリッツなどの蒸留酒をレモン果汁と炭酸水で割った飲み物。それがレモンサワーだ。

ただ、この「シンプルな定義」と、実際に私たちが飲んでいる「レモンサワー」の間には、けっこうな距離がある。


レモンサワーの定義

レモンサワーとは、蒸留酒(焼酎・スピリッツ等)をレモン果汁と炭酸水で割ったアルコール飲料のことだ。 ごくシンプルな定義だが、この一行に「サワーとは何か」「チューハイとどう違うのか」「度数はどれくらいか」といった疑問が全部ぶら下がっている。順番にほどいていく。

「サワー」は英語の sour(酸っぱい)から来ていて、もともとはスピリッツに柑橘の酸味と甘みを加えたカクテルの一群を指す言葉だった。それが日本の居酒屋文化のなかで「焼酎の炭酸割りに柑橘」という形に落ち着いた。レモンを使えばレモンサワー、グレープフルーツならグレフルサワー、という具合に、割る柑橘の名前がそのまま頭につく。


サワーとチューハイは何が違うのか

「サワー」と「チューハイ」、居酒屋のメニューで両方を見かけて、違いを聞かれると答えに詰まる人は多いと思う。

結論から言うと、いまの日本では実質的にほぼ同じものを指している。チューハイは「焼酎ハイボール」の略で、もともとは焼酎を炭酸で割ったものだった。サワーはそこに柑橘の酸味を加えた呼び方として広がった。今では両方とも「蒸留酒の炭酸割り(+柑橘)」を指していて、明確な線引きはない。

ざっくりした傾向として、関東では「サワー」、関西では「チューハイ」と呼ぶ店が多い、という地域差はある。ただし法律上の区分があるわけではなく、同じ一杯を店によってどちらの名前で出すかの違いだと考えていい。缶で売られている「○○チューハイ」と「○○サワー」も、中身の作り方に決まった差はない。


レモンサワーのアルコール度数はどれくらいか

レモンサワーの度数は、缶か、居酒屋か、自分で割るかで変わってくる。

市販の缶レモンサワーは3%前後のライトなものから、9%の「ストロング」系まで幅が広い。主流は5〜7%あたり。居酒屋で出てくる一杯も、だいたい同じくらいの度数に調整されていることが多い。

自分でレモンサワーの素や原液から作る場合は、割り方で度数を自由に動かせるのが大きな違いだ。たとえば度数の高い素を炭酸水で3〜4倍に割れば5〜7%前後に、薄めに割ればもっと軽くなる。「今日は軽く」「今日はしっかり」を一本のボトルで調整できるのは、缶にはない自由度だ。割り方ごとの度数の目安はレモンサワーの作り方・割り方で具体的にまとめている。


缶の「レモンサワー」は、どこまでレモンなのか

定義では「レモン果汁で割った」飲み物だが、市販の缶レモンサワーの果汁率は平均5%前後。350ml缶に入っているレモン果汁は約17ml。大さじ1杯ちょっと。

残りの「レモンっぽさ」は香料と酸味料で作られている。レモンの香りを再現する香料、クエン酸やリンゴ酸で酸味を足す酸味料。この組み合わせで「レモンサワーの味」が構成されている。

悪いことではない。大量に安定した味を供給するにはこの方法が合理的だし、実際に美味しい。毎晩のリラックスタイムに缶を開ける習慣は、それはそれで良い。

ただ、「レモンサワー」と名乗りながら中身の95%がレモンではない、という事実は知っておいたほうがいい。


高果汁レモンサワーという別の世界

果汁率が20%を超えると、味の印象が変わり始める。レモンの酸味に奥行きが出て、香料では再現できない果皮のほろ苦さが後味に残る。

40%になると、もはや別の飲み物だ。

クラッチュ 湘南潮彩レモン40は、レモン果汁を40%配合している。缶の8倍。炭酸水で割ると、グラスに注いだ瞬間から本物のレモンの香りが立つ。香料で作った香りとは質感が違う。

ベースは清酒(大吟醸)と醸造アルコール。一般的なレモンサワーが焼酎やスピリッツをベースにしているのと根本的に違う。大吟醸由来の米の旨みがレモンの酸味を支えるから、糖類を足さなくても味に厚みがある。

缶レモンサワー クラッチュ
果汁率 3〜5% 40%
糖類 あり なし
香料 あり なし
ベース 焼酎/スピリッツ 清酒(大吟醸)+醸造アルコール
レモン 輸入(多くは) 神奈川・湯河原産100%

果汁40%のレモンサワーを飲むと、「レモンサワーとは何か」の答えが更新される。


レモンサワーの歴史

レモンサワーの発祥は諸説あるが、1960年代の東京・目黒「もつ焼きばん」が有名だ。焼酎のソーダ割りにレモンを搾ったのが始まりとされる。当時は生レモンを使った素朴な飲み物だった。

その後、大手メーカーが缶チューハイとして商品化。1980年代から2000年代にかけて「居酒屋の定番」として定着した。2018年頃からの「レモンサワーブーム」では、各メーカーが氷結・こだわり酒場・贅沢搾り等を投入して、コンビニの棚を席巻した。

面白いのは、ブームが進むほど「本物のレモン感」を求める流れが出てきたことだ。「果汁感」「搾りたて」「生レモン」を謳う商品が増えたが、果汁率は依然として5%前後。言葉と中身のギャップが広がっている。

そこに果汁40%という数字で参入したのがクラッチュだ。しかも焼酎ではなく大吟醸ベース。日本酒蔵がなぜレモンサワーを造るのかという疑問への答えも、この文脈で読むと腑に落ちる。レモンサワーの歴史の中で、これは明確に異質な一本だと思う。


1杯¥83のレモンサワー

クラッチュ1800ml(¥4,950)で60杯作れる。1杯あたり30ml使用。1杯¥83。

缶のレモンサワー(¥170)の半額以下で、果汁は8倍、糖類ゼロ、香料ゼロ、国産レモン100%。コスパだけ見ても缶に戻る理由がない。

720ml(¥2,750)なら24杯分で1杯¥115。まずはこのサイズから試してみるのがいい。


レモンサワーの概念が変わる一杯

「レモンサワーとは何か」の答えは、何を飲んでいるかで変わる。

果汁5%の缶を飲んでいる人にとっては「焼酎とレモン風味の炭酸水」。果汁40%のクラッチュを飲んだ人にとっては「本物のレモンと大吟醸が合わさった飲み物」。同じ「レモンサワー」という名前なのに、中身はまるで違う。

一度、果汁40%を試してみてほしい。「レモンサワー」の概念が変わるから。

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