レモンサワーのレモン、9割は輸入です。国産100%だと何が変わる?

居酒屋でも缶でも、最近のレモンサワーは「本物のレモン」「果汁たっぷり」をうたうものが増えた。でも、その“本物のレモン”がどこで採れたものか、立ち止まって考えたことはあるだろうか。

実は、日本で出回るレモンのうち国産はおよそ1割。残りの9割近くは、アメリカやチリから海を越えてきた輸入レモンだ。だから「本物のレモン入り」と書かれていても、その中身のほとんどは輸入レモンということになる。輸入が悪いという話ではない。ただ、国産、それも産地をひとつに絞ったレモンとなると、一杯の表情が少し変わってくる。何が変わるのか、作り手の側から書いてみたい。

※ 写真はイメージです

まず「国産レモンは1割」という前提から

輸入レモンは、収穫してから日本の店頭に並ぶまでに時間がかかる。長い輸送に耐えさせるため、多くは収穫後に防カビ剤(ポストハーベスト)を使う。普段の料理なら気にしない人も、レモンサワーとなると話は別かもしれない。レモンサワーは、皮ごと搾ったり浮かべたりして、皮の香りまで一杯にのせる飲み物だからだ。

国産レモンは輸送が短く、収穫後の薬剤を使わないものが多い。だから皮まで安心して使える。「国産レモンのレモンサワー」がじわじわ支持されている理由は、味の前にまず、この素朴な安心感にある。

“単一産地”という、もうひとつの分かれ目

国産の中でも、さらに産地をひとつに絞るとどうなるか。

私たちがクラッチュに使っているのは、神奈川・湯河原産のレモン100%。相模湾の潮風を受けて育つ、県西地域の「湘南潮彩レモン」と呼ばれる希少な国産レモンだ。産地を絞ると、味の輪郭がはっきりする。複数の産地をブレンドした果汁は、味が安定する代わりに個性がならされていく。単一産地は逆で、その土地のレモンが持つ酸の出方や香りが、そのまま一杯に出る。ワインでいうテロワールに近い感覚で、「酸っぱい」だけでは終わらない香りの鮮度と奥行きが、ここで生まれる。

国産で、単一産地で、皮まで使える。この三つが揃うレモンは、そもそも市場にそう多くない。希少だというのは、雰囲気の話ではなく、流通量がそう物語っている。

いいレモンを使うと、引き算ができる

産地のいいレモンを使うと、面白いことに作り方は足し算ではなく引き算になる。

香りが足りないから香料で補う、酸が立ちすぎるから糖でまるめる——いいレモンが手元にあると、その必要がなくなる。だからクラッチュは糖類ゼロ・香料ゼロで仕上げている。立ちのぼる香りは、後から足したものではなく、湯河原のレモンそのものの香りだ。ベースに大吟醸を使っているのも同じ理由で、雑味で果汁を隠さず、レモンの輪郭をきれいに通したいからにほかならない。

市販のレモンサワーを否定したいわけではない。安定して、どこでも同じ味で、手頃に飲める強さは、マスにしか出せない価値だ。ただ、たまには「このレモン、どこの誰が作ったレモンなんだろう」と分かる一杯を飲んでみる夜があってもいい。選択肢はそういう意味で書いている。

※ 写真はイメージです

家で“国産・単一産地”を飲む、いちばん簡単な方法

とはいえ、国産100%・単一産地のレモンサワーを毎回お店で探し当てるのは、正直むずかしい。

そこで原液(レモンサワーの素)という手がある。炭酸で割るだけで、一杯およそ83円。濃さも自分で決められるから、その日の気分で薄くも濃くもできる。湯河原のレモンの香りを、家のグラスでそのまま開けられるのが、原液のいちばんの良さだと思っている。

レモンサワーの“レモン”を一度気にしはじめると、もう元には戻れない。次の一杯から、ラベルの裏の「どこのレモンか」を少しだけのぞいてみてほしい。

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クラッチュ 湘南潮彩レモン40

湯河原産レモン100%・糖類ゼロ・香料ゼロの、大吟醸ベースのレモンサワーの素。炭酸で割るだけ、一杯およそ83円。

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