Vol.12 地域名産に新たな魅力を。大正2年創業の老舗酒屋が挑む地域創生「小野酒店」

Vol.12 地域名産に新たな魅力を。大正2年創業の老舗酒屋が挑む地域創生「小野酒店」

今回は、大正2年創業の老舗酒屋「小野酒店」店主 中村さんにお話を伺いました。
大正2年創業の小野酒店店長 中村さん
ー小野酒店はどのようなお店ですか?

神奈川県秦野の地で大正2年より酒の販売を開始し私で3代目になります。蔵元が丹念込めて造り上げたお酒を届けるべく、おいしいと思うお酒があれば全国各地に出向き、お客さまに様々なお酒を提案しております。

近年お酒を取り巻く環境やトレンドは日々変化します。特に東京での最新情報や変化は早く、常に情報をキャッチできるよう意識しながら当店にも商品を取り入れるよう努めております。今では定番になった「サワー」も当時東京で流行していると耳にした時は、すぐに取り入れ販売を開始しお客さまにも喜んでいただけました。

現在店内には、県内の地酒から「獺祭」や「八海山」などの定番銘柄、新たなスタイルのお酒まで、合わせて200種類を超える商品を取り揃え、幅広いニーズに対応できる品揃えに取り組んでおります。

日本酒や焼酎を中心に豊富に取り揃えている
ー秦野のりんごや桜を使ったお酒を作られたと伺いましたが。
「固定概念にとらわれず、自由な発想でチャレンジし続ける酒屋でありたい」とのビジョンの下、秦野の地域活性に繋がる活動に努めております。秦野で生産されたりんごとワインのコラボによって誕生した「りんごワイン」がその一例です。以前秦野では、盆地の特色と気候を生かし、夏のりんご生産が盛んに行われておりました。当時、同時期にりんごを栽培する地域は少なく、秦野のりんごは東京の料亭に卸されるほど栄えていました。しかし農業設備の発展とともに、夏のりんご生産地は拡大、秦野産の需要が減少してしまいます。その窮地をなんとか救うべく、自ら全国各地のワイン工場を尋ね回り、香料、甘味料を一切加えない秦野産「りんごワイン」を作り上げました。ほかにも八重桜を使ったワイン、落花生の焼酎など名産品を生かした酒造りで地域の盛り上げに繋げてまいりました。これからもチャンスがあるならば全国各地に出向き、あらゆる可能性を探りたいと思っております。
100年以上、秦野の地域の移り変わりを見守ってきた老舗酒店
ー金井酒造店とのつながりを教えてください。

秦野唯一の酒蔵である金井酒造店とは、「秦野を盛り上げたい」という共通の目的を持つ者同士手を取り、様々な挑戦に取り組んでまいりました。神奈川の米と水で醸造された純米吟醸生貯蔵「若水」は、秦野の魅力を最大化するためにつくったお酒です。杜氏とともに最高の味わいを目指し、日々試行錯誤することで「若水」が誕生しました。

また、“秦野”を名称に取り入れた「秦野物語」も一緒に作りました。秦野市内の住職にお願いしラベル部分の文字を書いてもらうことで秦野らしさが表現されています。今では観光客の手土産や秦野住民のお中元やお歳暮として親しまれています。

愛着ある金井酒造店が繁栄することは私の誇りでもあり、この先もあらゆる挑戦は惜しみません。美味しいお酒であるからこそ、地域活性のシンボルとして全国にアピールし、秦野の繁栄に繋がってほしいと願っております。

神奈川の米と水を使って作られた純米吟醸生貯蔵「若水」
秦野の魅力を伝えるべく、中村さんが「秦野物語」という名称を考案した
ー最後に秦野で生まれ育った中村さんだからこそ知る秦野の魅力を教えてください。
秦野は丹沢の山々や富士山を見渡せる絶景に囲まれた自然豊かな地域です。中でも私のお気に入りは、秦野から渋沢に向かう小田急線先頭車両から見える雄大な富士山です。また国道から秦野市内を走行すると丹沢の山々や盆地が一望できます。これらの光景は、他では味わえないかけがえのない魅力です。秦野市民として地域の魅力発信に努めるとともに、この美しさをこれから先も守り続けていきたいと思っております。

小野酒店の紹介
大正2年創業。全国各地の日本酒や本格焼酎を多く取り扱う酒一筋の老舗酒店。金井酒造店のお酒のラインナップも豊富。全国配送も承っている。
店名:小野酒店
住所:神奈川県秦野市本町2-9-9
連絡先:0463-81-0530
営業時間:9時~19時
定休日:水曜日  
アクセス:秦野駅北口徒歩12分
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