甘酒とは?米麹と酒粕の違い・効果・飲み方をわかりやすく
Share
甘酒、と聞いて思い浮かべるのは冬でしょうか、それとも夏でしょうか。初詣の屋台で湯気を立てる一杯を思い出す人もいれば、最近はスーパーの冷蔵棚に並ぶ「冷やし甘酒」のほうが馴染み深い、という人もいるかもしれません。
実はこの飲みもの、ひとくちに「甘酒」と言っても中身は二種類あります。原料が違えば、甘さの質も、アルコールの有無も、できあがるまでの手間もまるで違う。同じ名前なのに別の飲みもの、と言ってもいいくらいです。
ここでは、甘酒とはそもそも何なのか、二種類のちがいはどこにあるのか、なぜ「飲む点滴」と呼ばれるのか、そして夏と冬それぞれの楽しみ方まで、酒蔵の目線でやわらかく整理してみます。
※ 写真はイメージです
甘酒とはそもそも何か
甘酒は、米を発酵させてつくる、日本に古くからある甘い飲みものです。砂糖を入れていないのに、しっかりと甘い。これは米のでんぷんが分解されてブドウ糖に変わるためで、その自然な甘さこそが甘酒の正体です。
歴史はかなり古く、起源は古墳時代までさかのぼるとも言われます。意外に思われるかもしれませんが、甘酒は俳句の世界では「夏の季語」です。冷房もない時代、暑さで食欲が落ちる夏に、栄養のある甘酒で体力をつないだ。そんな暮らしの知恵が言葉に残っているわけです。今でこそ冬の飲みものというイメージが強いですが、もともとは夏を乗り切るための一杯でした。
甘酒には二種類ある — 米麹甘酒と酒粕甘酒
ここがいちばん大事なところです。甘酒には、つくり方の異なる二つのタイプがあります。
ひとつは米麹(こめこうじ)の甘酒。蒸した米に米麹を合わせ、温度を保ってゆっくり発酵させると、麹の酵素が米のでんぷんを糖に変えていきます。砂糖を一切加えなくても自然に甘くなり、アルコールはほぼ含まれません。やさしい甘さで、お子さんでも飲めるのが米麹甘酒です。
もうひとつが酒粕(さけかす)の甘酒。こちらは日本酒をしぼったあとに残る「酒粕」をお湯で溶き、砂糖で甘みを足してつくります。酒粕由来のわずかなアルコールが残るため、運転前やお子さんには向きませんが、酒粕ならではのコクと香りがあって、これはこれで根強いファンがいます。手間という点では、こちらのほうがずっと手軽。溶かして甘みを足すだけなので、思い立ったらすぐつくれます。
つまり、「自然な甘さでノンアルがいいなら米麹」「コクのある味を手軽に楽しみたいなら酒粕」。同じ甘酒でも、選ぶ理由がはっきり分かれます。
酒粕甘酒の具体的なつくり方は、蔵元の黄金比レシピとして別の記事にまとめています。配合は驚くほどシンプルなので、よかったらこちらをどうぞ。酒粕甘酒の作り方|蔵元の黄金比レシピ
そもそも酒粕って何? という方は、酒粕そのものの正体と使い道をまとめた記事もあります。酒粕とは?使い方・甘酒・粕汁・美容まで
「飲む点滴」と呼ばれる理由
甘酒はよく「飲む点滴」と表現されます。これは、点滴に含まれる成分と甘酒の栄養が似ているところからきた言い方だと言われています。
甘酒には、すぐにエネルギーになるブドウ糖、体の調子を整えると言われるビタミンB群、そして体をつくるもとになるアミノ酸が含まれています。とくに米麹の甘酒は、発酵の過程でこうした成分が生まれるのが特徴です。
ただ、健康効果については過度な期待をせず、「栄養のある飲みもの」くらいの距離感でとらえておくのがちょうどいいと思います。甘酒を飲めば何かが劇的に変わる、というものではありません。あくまで、昔から夏バテ予防の知恵として親しまれてきた飲みもの。そう考えると、暑さで食が細くなる季節に一杯、というのは理にかなった習慣だと言えそうです。
※ 写真はイメージです
夏は冷やして、冬は温めて
甘酒の楽しみ方は季節で変わります。
夏なら、冷蔵庫でよく冷やした「冷やし甘酒」。少し薄めにつくって、すりおろした生姜をひとつまみ加えると、後味がすっきりして暑い日にも飲みやすくなります。氷を浮かべてもいいですね。食欲がない朝に、これ一杯で何となく体が動き出す、という使い方をしている人も多いようです。
冬なら、やはり温めて。湯気の立つ甘酒を手で包むようにして飲むあの感じは、寒い季節ならではのものです。こちらも生姜を効かせると体が芯から温まります。
同じ甘酒でも、冷たくするか温めるかで印象はがらりと変わります。一年を通じて、その時々の体に合わせて飲み方を選べる。それが甘酒の懐の深さです。
つくり方は二通り、手軽なのは酒粕
自分でつくってみたい、という場合も、やはり二つの道があります。
米麹からつくる方法は、炊飯器などで温度を保ちながら数時間〜半日ほど発酵させる必要があり、本格的ですが少し手間がかかります。一方、酒粕からつくる方法は格段に手軽です。酒粕をお湯で溶いて砂糖を加え、火にかけるだけ。材料さえあれば数分でできあがります。
「まずは気軽に甘酒づくりを試してみたい」という方には、酒粕からのスタートがおすすめです。具体的な配合と手順は、蔵元の黄金比レシピにまとめてあります。ジャムを混ぜたり、牛乳やカルピスで割ったりといったおすすめのアレンジも紹介しているので、覗いてみてください。
酒粕甘酒の作り方|蔵元の黄金比レシピ(酒粕1:砂糖1:水1)
そして、その酒粕がどんなもので、甘酒以外にどう使えるのか。粕汁や粕漬けまで含めた酒粕の楽しみ方は、こちらの記事で。酒粕とは?使い方・甘酒・粕汁・美容まで|蔵元直詰の楽しみ方