レモンサワーの素は焼酎じゃなくていい|清酒ベースという選択肢
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市販のレモンサワーの素は、どれも似た方向の味になりやすい。焼酎にレモン果汁と糖類を混ぜて、炭酸で割る。キリッとしていて、さっぱりしていて、飲みやすい。でも3杯目あたりで飽きるという人は少なくない。
その「飽き」の正体は、ベースのお酒にある。
焼酎ベースの素、どこかで頭打ちになる
焼酎ベースのレモンサワーの素は、よくできている。甲類焼酎はクセがなく、レモンの酸味をまっすぐ通す。居酒屋のレモンサワーがほぼ全部焼酎ベースなのは、それが合理的だからだ。安い、クセがない、何にでも合う。
焼酎ベースの素には構造的な弱点がある。レモンの香りが途中で消える。最初の一口は華やかなのに、氷が溶けて薄まっていくと、アルコールのツンとした感じだけが残る。レモン感を保とうとして素を多めに入れると、今度は甘ったるくなる。市販の素は糖類で味を調整しているものが多いから、量を増やすと甘みが先に立つ。
この「レモンが消える問題」と「甘みが増える問題」は、焼酎ベースの構造上どうしても起きやすいことだと思っている。蒸留酒はアルコールと水が主成分で、レモンの風味を支える「土台」がない。だから時間が経つとレモンだけが揮発して飛んでいく。
清酒をベースにすると、味の構造が変わる
うちで造っているクラッチュ 湘南潮彩レモン40は、大吟醸と醸造アルコールをベースにしたレモンサワーの素だ。焼酎ベースの素とは飲んだときの感触がまるで違う。
何が違うかというと、レモンの居場所がある。
大吟醸には米由来の甘みと旨味がある。この「うっすらとした甘み」が、レモンの酸味を包み込むように支える。焼酎ベースだとレモンが剥き出しになるのに対して、清酒ベースだとレモンが馴染む。氷が溶けて薄まっても、米の旨味がベースにあるから味が崩れにくい。
※ 写真はイメージです
もうひとつ大きいのが、糖類・香料・酸味料を使っていないこと。果汁率40%でレモンの味を出しているから、人工的な甘さがない。市販の素が果汁5〜15%程度なのと比べると、レモンそのものの厚みがけっこう違う。湯河原産のレモンを使っているので、輸入レモンにありがちなワックスっぽさもない。
焼酎以外のベース酒でレモンサワーを作る選択肢は他にもあるけれど、清酒ベースは「ドライさから離れる」という意味で、蒸留酒系とはまったく別の方向に振れる。
割り方は単純。30mlをソーダで割るだけ
クラッチュの飲み方はシンプルだ。
グラスに氷をたっぷり入れて、クラッチュを30ml注ぐ。そこにソーダを120〜150ml加えて、軽くひと混ぜ。混ぜすぎると炭酸が抜けるから、縦に一回だけステアするのがいい。
アルコール度数は25度だから、ソーダで4〜5倍に割ると5〜6度くらいになる。缶チューハイと同じくらいの飲みやすさだ。
好みで調整する余地もある。濃いめが好きなら45mlにソーダ少なめ。軽く飲みたい日は20mlにソーダ多め。レモンサワーの作り方を詳しく知りたければ別の記事にまとめてあるけれど、基本は「素30ml+ソーダ+氷」で完結する。
冷蔵庫でしっかり冷やしておくのがひとつだけのコツ。常温だと炭酸を入れたときに泡立ちすぎて、味がぼやける。
1杯115円。意外とコスパがいい
クラッチュは720mlで2,750円。高く感じるかもしれないけれど、1杯あたりの計算をすると印象が変わる。
720ml÷30ml=24杯分。2,750円÷24杯=約115円/杯。ソーダ代を入れても1杯150円前後。缶のレモンサワーが1本180〜250円くらいだから、むしろ安い。
市販の焼酎ベースの素は500mlで600〜800円くらいのものが多い。1杯あたり50〜70円だから、そこだけ見ればクラッチュは倍くらいする。ただ、果汁率が40%と5〜15%では中身がまるで違うので、同じカテゴリで比較するのはちょっと無理がある。生搾りレモンを自分で用意する手間と、レモン1個150〜200円の値段を考えたら、果汁40%の素を115円で使えるのはむしろ楽だと思う。
唐揚げ、刺身、チーズ。どれとも喧嘩しない
焼酎ベースのレモンサワーは「口をリセットする」飲み物で、唐揚げや餃子みたいな油っぽい料理と合わせるのが定番だ。それはそれで正解なのだけど、清酒ベースだともう少し守備範囲が広い。
※ 写真はイメージです
唐揚げとの相性はもちろんいい。油を切りつつ、米の甘みが鶏肉の旨味に寄り添う。焼酎ベースが「洗い流す」感覚なのに対して、清酒ベースは「一緒に味わう」感覚に近い。
注目したいのが刺身との相性で、これは焼酎ベースだとやや難しい組み合わせかもしれない。蒸留酒のアルコール感が魚の繊細な味を消してしまうことがある。清酒ベースだと、元が日本酒だからか刺身の味を邪魔しない。白身魚の刺身にクラッチュのソーダ割りを合わせると、日本酒を飲んでいるような自然さがある。
チーズも面白い。カマンベールやブリーのようなクリーミーなチーズに、レモンの酸味と米の甘みが重なると、ワインともビールとも違う組み合わせになる。焼酎ベースから日本酒ベースへの切り替えを考えている人は、おつまみとの相性の広さに気づくかもしれない。
「いつものレモンサワー」を変えるかどうか
焼酎ベースのレモンサワーが悪いとは思わない。あれはあれで完成された飲み物だ。ただ、もし「どれも同じ味に感じる」「3杯目で飽きる」という感覚があるなら、ベースのお酒を変えてみるのは試す価値がある。
清酒ベースのレモンサワーは、まだあまり知られていない選択肢だ。でも一度飲むと、清酒ベースのほうが好きだという人がけっこういる。うちの直売所でリピートしてくれるお客さんの話を聞いていると、「レモンサワーの概念が変わった」という感想が多い。
レモンサワーの原液について詳しくまとめた記事もあるので、もっと深く知りたい人はそちらも参考になると思う。湯河原産レモン果汁40%・大吟醸ベースのレモンサワーの素の詳細も参考になると思う。清酒と焼酎の違い自体に興味が出てきた人は、焼酎と日本酒の違いを造りの現場から解説した記事も面白いと思う。蒸留するかしないかで味がどう変わるのか、レモンサワーのベース選びにも直結する話だ。