広島の日本酒が好きな人に、次に飲んでほしい神奈川の地酒

広島の日本酒には、特別な歴史がある。

明治時代、広島の酒造家・三浦仙三郎が「軟水醸造法」を確立した。それまで「酒造りには硬水が必要」とされていた時代に、軟水でも旨い酒が造れることを証明した。この革命が、日本の日本酒文化を大きく変えた。

賀茂鶴、雨後の月、龍勢——広島の酒は、その軟水醸造の伝統の上に立っている。
やわらかく、上品で、飲み飽きない。

この記事は、広島の酒の「軟水の旨み」を知っている人に向けて書いた。
やわらかな口当たりを生む仕込み水を持つ、神奈川の地酒を紹介したい。


目次

広島が「軟水醸造」の聖地になった理由

広島の日本酒が好きな人に、次に飲んでみてほしい神奈川の地酒 — 広島が「軟水醸造」の聖地になった理由 ※ 写真はイメージです

三浦仙三郎が軟水醸造法を開発した背景には、広島の地理的な事情があった。

広島の仕込み水は、中国山地からの軟水だ。当時の常識では「ミネラルが少ない軟水では酵母が十分に働かず、良い酒ができない」とされていた。しかし三浦は、温度管理と丁寧な仕込みによって軟水でも優れた発酵ができることを解明した。

この発見は日本中の蔵元に広まり、「軟水でも酒が造れる」という事実が、伏見をはじめ各地のやわらかな水を持つ産地の発展にも貢献した。広島は、軟水醸造の先駆者として日本酒史に名を刻んでいる。


広島の軟水酒が持つ「上品さ」

広島の日本酒が好きな人に、次に飲んでみてほしい神奈川の地酒 — 広島の軟水酒が持つ「上品さ」 ※ 写真はイメージです

広島の酒を飲んだことがある人は、その上品さを知っている。

雑味が少なく、クリアな飲み口。米の旨みがあるが、重くない。柔らかい酸が酒全体を引き締める。料理を選ばず、どんな場面でも使える懐の深さがある。

これは軟水醸造の技術が生み出した特性だ。ミネラルの少ない軟水で丁寧に仕込まれた酒は、余計な雑味が出にくく、きれいに仕上がる。


神奈川の仕込み水との共通点

神奈川・秦野市の仕込み水は、表丹沢の伏流水で、環境省の名水百選に選ばれた軟水寄りの中硬水だ。三浦仙三郎が広島で解き明かした軟水醸造の技術が、こうした水質での酒造りにも道を拓いた。

広島の軟水に比べてミネラルをやや含む水質だが、発酵をおだやかにし口当たりの柔らかい酒を生む、という方向性は共通している。

広島の酒の「上品さ」に通じる透明感が、白笹鼓にもある。
「広島の酒が好き」という人が白笹鼓を飲むと、「方向性が近い」と感じてもらえることが多い。


異なる点:土地の個性

共通点がある一方で、違いもある。

広島の酒は、長年の軟水醸造技術の蓄積と、広島独自の米(八反錦など)が生み出すテロワールを持つ。

神奈川・白笹鼓は、丹沢の山の空気と水が生み出す清潔感が特徴だ。
方向性は近いが、「広島の酒は技術の上品さ」「白笹鼓は山の透明感」という印象の差がある。


広島から神奈川へ:軟水醸造の系譜をたどる

広島の軟水醸造法の発展がなければ、今の日本のやわらかな水を使う産地の酒は存在していなかったかもしれない。その意味で、神奈川の地酒も広島の先人たちの発見の恩恵を受けている。

日本酒好きとして広島の軟水の酒に親しんできた人が、「やわらかな口当たりの別の表現」を探すとき、神奈川は興味深い選択肢になる。

秦野市は新宿から小田急線で約1時間。広島より格段に近い。広島の蔵元巡りをしたことがある人なら、秦野の蔵元訪問はより気軽に楽しめる。


まとめ

広島の日本酒は、軟水醸造という革命を起こした産地だ。その技術と精神は、今も日本中の蔵元に引き継がれている。

神奈川の地酒も、やわらかな口当たりという共通の方向性を持っている。
広島の上品さとは少し違う、丹沢の山が生み出す透明感。

やわらかな口当たりの酒が好きな人なら、白笹鼓のやわらかさに自然と手が伸びるはずだ。


白笹鼓のラインナップを見る → 金井酒造店オンラインストア
蔵見学・アクセス → 蔵見学のご案内


参考:国税庁「清酒の製造状況等について」、広島県酒造組合、三浦仙三郎顕彰事業

神奈川の酒蔵を全部知りたい → 神奈川の酒蔵14蔵まとめ


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