灘・兵庫の日本酒が好きな人に、次に飲んでほしい神奈川の地酒
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灘・兵庫の日本酒が好きな人に、次に飲んでほしい神奈川の地酒
日本酒の生産量、全国1位は兵庫県だ。
神戸の灘五郷——西郷・御影郷・魚崎郷・西宮郷・今津郷。この一帯から生まれる酒は、日本の清酒市場の約3割を担う。菊正宗、白鶴、沢の鶴、剣菱——誰もが知る銘柄がここに集まっている。
灘の酒は「男酒」と呼ばれる。力強く、キレがある。食事を選ばない懐の広さがある。日本酒の王道中の王道だ。
この記事は、灘の酒で日本酒の力強さを知った人に向けて書いた。
その正反対にある、神奈川のやわらかな水で仕込む酒を紹介したい。
灘の酒を「男酒」にした「宮水」
※ 写真はイメージです
灘の酒の個性を語るとき、避けて通れないのが「宮水(みやみず)」だ。
西宮市に湧く宮水は、リンやカリウムを豊富に含む硬水だ。ミネラルが酵母の活動を活発にし、力強い発酵を促す。その結果、骨格のしっかりしたキレのある辛口の酒が生まれる。
硬水の酒は「雑味が出やすいが力強い」と言われる。しかし灘の蔵は長年の技術でこれを磨き上げ、力強さと清潔感を両立させた。これが灘の酒が世界に通用する理由のひとつだ。
「力強さ」の次に求めるもの
灘の酒を日常的に飲んでいると、その力強さが当たり前になってくる。
そのとき、ふと「やわらかい酒も飲んでみたい」と思う瞬間が来ることがある。キレのある辛口とは正反対の、口に溶け込むような柔らかさ。それを体験したとき、水の違いが酒をこれほど変えるのか、と実感する。
神奈川・秦野の仕込み水の柔らかさ
※ 写真はイメージです
神奈川県秦野市の仕込み水は、表丹沢の伏流水で、環境省の名水百選に選ばれた軟水寄りの中硬水だ。
灘の宮水(硬水)と秦野の仕込み水(軟水寄りの中硬水)は、日本酒の仕込み水として対照的な性質を持つ。
硬水で仕込むと:発酵が活発で力強い酒になる
軟水で仕込むと:発酵がおだやかで口当たりの柔らかい酒になる
金井酒造店の「白笹鼓」は、この伏流水で仕込む。
灘の酒のキレに親しんだ人が飲むと、「こんなに違うのか」と驚くことがある。
どちらが上ではなく、水の個性がそのまま酒に出る。その対比が面白い。
同じ「食中酒」でも、表現が違う
灘の酒は、食事と合う酒として知られている。キレのある辛口は、食べ物の脂をすっきりと流し、口をリセットする。肉料理、濃い味付けの料理に強い。
白笹鼓は、同じ食中酒でも別の方向に働く。やわらかい口当たりが食材の繊細な旨みを包み込む。魚料理、野菜、豆腐——素材の味を生かした料理に寄り添う。
灘の酒が「料理の主張と対等に渡り合う酒」なら、白笹鼓は「料理のうしろに静かに寄り添う酒」とも言える。
価格帯と日常酒としての神奈川の地酒
灘の大手メーカーは、流通量の多さもあって比較的手頃な価格で高品質の酒を提供している。これは大量生産の恩恵だ。
白笹鼓は、年間生産量591kL(神奈川全体)という小規模な産地の酒だ。大量生産はできないが、¥1,177〜という手頃な価格帯から揃えている。贈り物から日常酒まで、灘の酒と変わらないスタンスで選べる。
灘から神奈川へ:水の旅
日本酒の水を意識し始めると、酒の楽しみ方が変わる。
灘の宮水(硬水)→ 京都・伏見の伏水(軟水)→ 広島の軟水 → 神奈川・秦野の伏流水(軟水寄りの中硬水)——日本の名水を水源にした酒蔵をたどると、それぞれの水が酒にどう影響するかが見えてくる。
秦野市は新宿から小田急線で約1時間。灘の酒の力強さを知っている人が、表丹沢の伏流水の柔らかさを体験しに来るには、手頃な距離だ。
まとめ
灘・兵庫の日本酒は、日本清酒の王道を作ってきた産地だ。宮水という硬水がもたらす力強さとキレは、世界でも認められている。
神奈川の地酒は、やわらかな仕込み水から生まれる。
柔らかく、やさしく、食材に寄り添う酒。
同じ「日本酒が好き」という人でも、灘の酒と白笹鼓を両方知っていると、日本酒の幅が格段に広がる。ぜひ、比べて飲んでみてほしい。
白笹鼓のラインナップを見る → 金井酒造店オンラインストア
蔵見学・アクセス → 蔵見学のご案内
参考:国税庁「清酒の製造状況等について」、兵庫県酒造組合
神奈川の酒蔵を全部知りたい → 神奈川の酒蔵14蔵まとめ