新潟・東北の日本酒が好きな人に、次に飲んでほしい神奈川の地酒

新潟の淡麗辛口で日本酒に目覚めた人は多い。 東北の純米酒で、酒の深さを知った人も多い。

どちらも本物だ。日本酒の王道として、長い歴史と実力がある。

この記事は、そういう人に向けて書いた。 新潟や東北の酒が好きで、もっと日本酒の世界を広げたいと思っている人へ。

東京の隣、神奈川県に、あまり知られていない地酒の産地がある。 生産量は全国39位。地味な数字だ。でもその数字の裏に、おもしろい酒がある。


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目次

新潟・東北の日本酒が「王道」である理由

まず、新潟と東北の酒について

新潟の日本酒は、なぜあれほど有名になったのか。それは偶然ではない。 豊富な雪解け水、米どころとしての素地、そして88の蔵元が切磋琢磨してきた歴史がある。「久保田」「八海山」「越乃寒梅」——これらが日本中に日本酒ブームを起こした。淡麗辛口というスタイルは、新潟の蔵元たちが長い時間をかけて磨いてきたものだ。

東北も同じだ。秋田・山形・福島・岩手——それぞれに気候と水があり、それぞれのスタイルがある。「獺祭」が山口から出てきた後も、東北の酒はその存在感を失っていない。

生産量でいえば、兵庫(1位)・京都(2位)・新潟(3位)が日本酒の三大産地とされる。市場の半分以上をこの3県が占める。

これは事実であり、実力だ。ここを否定する気は毛頭ない。


「有名産地の次」を探している人へ

日本酒が好きになると、ある段階で「他にはないのか」と思い始める。

いつも飲む銘柄以外に、まだ出会っていない酒があるはずだ、と。 酒屋の棚を眺めながら、知らない県のラベルに手が伸びる。そういう体験をしたことがある人は、少なくないと思う。

そのとき、選択肢のひとつとして知っておくといいのが、神奈川の地酒だ。


神奈川の日本酒:生産量39位が意味すること

神奈川県の日本酒生産量は全国39位(591kL)。47都道府県の中で下から数えた方が早い位置にある。

この数字だけ見ると、「大したことない産地」に見える。

でも、こう考えてほしい。

神奈川には現在14の蔵元がある。14蔵で591kL、つまり1蔵あたり約42kL。 対して新潟は88蔵で26,381kL、1蔵あたり約300kLだ。

神奈川の蔵は、新潟の蔵の7分の1しか造らない。

量を追わない蔵は、何を追うか。個性だ。

大量生産できないということは、規模の経済が使えないということでもある。 機械化・標準化で勝負できない蔵は、自分にしかできない酒を造るしかない。 結果として、14蔵がそれぞれ異なる方向を向いている。

山の蔵、名水の蔵、湘南の蔵。同じ「神奈川の地酒」でも、顔が全然違う。 これが生産量の少ない産地の、意外な豊かさだ。


神奈川の酒を支える「丹沢の水」

日本酒造りで水は命だ、とよく言われる。

神奈川県の西側には丹沢山地がある。首都圏の水がめとして知られるこの山系は、長い年月をかけて地中に水を蓄え、各地で湧き出す。

秦野市には、表丹沢の伏流水が湧く。 環境省の「名水百選」にも選ばれた、軟水寄りの中硬水だ。 新潟の酒米産地の雪解け水とは異なるが、日本酒仕込みに適した水質として古くから知られている。

金井酒造店が仕込む「白笹鼓」は、この伏流水を使っている。 創業から100年以上、同じ水で同じ場所で醸し続けてきた。水が変わらない限り、酒の骨格は変わらない。それが蔵の個性になる。


神奈川14蔵の多様性

神奈川の14蔵は、それぞれ違う。同じ県内でも、まったく異なるスタイルの酒を造っている。

秦野・伊勢原エリアの蔵は、丹沢の水を使う山寄りの酒。 小田原・湯河原エリアの蔵は、箱根の山が近い。 海側の蔵は、湘南の風土を映した酒を造る。

これだけ多様な地形が一県の中に収まっているのは、神奈川が特殊な地形を持っているからでもある。山・丘陵・海岸が短い距離で切り替わる。テロワール(土地の個性)という点では、むしろ豊かな産地と言えるかもしれない。

その14蔵がどこにあって何を造っているのかは、神奈川の地酒・酒蔵を14蔵まとめて整理してある。新潟・東北の次の一本を探すときの地図になる。


新潟好きが神奈川に辿り着く理由

新潟の淡麗辛口が好きな人は、すっきりした飲み口、食事を邪魔しない酒質を好む傾向がある。

神奈川の酒、特に白笹鼓は、その感覚に近い部分がある。 甘みよりも、きれいな酸とすっきりした後味。米の旨みはあるが、主張しすぎない。 「料理と一緒に飲む酒」という設計が共通している。

ただ、新潟の酒と完全に同じかというとそうではない。 表丹沢の伏流水が持つ柔らかさが、どこかやさしい口当たりをつくる。 新潟の水のシャープさとは違う、独自のテクスチャーがある。

「新潟が好きだが、ちょっと違うものを試したい」という人に、この差は面白く感じるはずだ。


東北の純米酒が好きな人には

東北の純米酒は、米の旨みをしっかり出したスタイルが多い。 深みがあって、单体でも飲み応えがある。

そういう酒が好きな人には、神奈川の純米酒系の銘柄が響くかもしれない。 白笹鼓にも純米・純米吟醸のラインがあり、米の旨みをきちんと感じるものが揃っている。

東北の酒が「どっしりとした原酒を飲んでいる感覚」だとすると、 白笹鼓の純米は「品よく整理された旨み」という印象に近い。 同じ「米の酒」でも、気候と水が違えばこれだけ変わる、ということが体感できる。


東京から1時間——気軽に行ける産地

新潟・東北は素晴らしい産地だが、東京から気軽に訪れるには距離がある。

秦野市は、新宿から小田急線で約1時間。 日帰りで蔵元を訪ね、試飲して、地元の酒を買って帰れる距離だ。

金井酒造店では蔵見学(要予約)も受け付けている。 仕込みの様子を見ながら、仕込み水を飲み、そこで醸された酒を試飲できる。 「産地に行く」体験としては、国内でも指折りのアクセスのよさがある。

丹沢の山並みを眺めながら飲む地酒は、東京の酒屋で買うのとは違う味がする。 それは比喩でなく、場所と記憶が味覚に影響するという話だ。


神奈川の地酒「白笹鼓」について

金井酒造店は、神奈川県秦野市で1887年(明治20年)創業の蔵元だ。 主力銘柄「白笹鼓」は、蔵のある秦野市の白笹稲荷神社にちなんだ名前を持つ。

ラインナップは10種類以上。純米・吟醸・大吟醸から、梅酒・甘酒まで幅がある。 価格は¥1,100台〜¥13,200と、贈り物から日常酒まで対応している。

最近は「クラッチュ 湘南潮彩レモン40」という大吟醸ベースのクラフトリキュールも加わった。湘南産のレモン果汁を40%使用したもので、日本酒になじみのない人への入口としても機能している。

新潟や東北の酒と一緒に飲み比べてみると、産地の違いが如実に出て、日本酒の奥行きを感じやすい。


まとめ:日本酒の地図を広げるために

新潟と東北の日本酒は、日本の酒文化の誇りだ。その豊かさを否定するつもりは全くない。

ただ、日本酒の地図には、まだ塗られていない場所がある。

生産量39位という数字の裏に、量ではなく個性で勝負してきた14の蔵がある神奈川。 日本酒好きが自分の地図を広げるとき、東京の隣にその産地があることを、覚えておくといい。

次の一本、探しているなら。


白笹鼓のラインナップを見る → 金井酒造店オンラインストア 蔵見学・アクセス → 蔵見学のご案内


参考:国税庁「清酒の製造状況等について」、日本酒造組合中央会 統計データ

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