「水レモン」って知ってますか — 小田原のご当地の飲み方と、湯河原産レモンの蔵元から見た話

※ 写真はイメージです

小田原の人にとっては当たり前で、小田原を一歩出ると急に通じなくなる飲み物がある。「水レモン」だ。

居酒屋で「水レモンください」と言えば、すっと出てくる。けれど神奈川の別の街で同じ注文をすると、店員さんがきょとんとする。地元では空気のように馴染んでいるのに、外では名前すら知られていない——そういう、土地に根を張った飲み方というのは、調べてみると意外とあちこちにあるものらしい。

私たちは秦野の酒蔵で、湯河原産の「湘南潮彩レモン」を使ったお酒を造っている。小田原は同じ神奈川の、すぐ隣の街だ。だからこの「水レモン」という言葉にも、どこか親しみがある。この記事では、小田原のご当地ドリンク「水レモン」がどんなものなのかを紹介しつつ、湯河原産レモンの蔵元という立場から、うちの場合はこういう一杯になる、という話を正直に書いてみたい。


目次

水レモンとは — 焼酎の水割りに、レモンを絞る

水レモンは、焼酎を水で割って、カットしたレモンを絞り入れた、とてもシンプルなお酒だ。炭酸は入れない。シュワシュワがないぶん、レモンの酸味と香りがそのまま立つ。小田原ではこれが昔からの定番で、ご当地ドリンクとして親しまれてきた。

作り方も飾り気がない。焼酎の水割りに、8分の1のくし切りにしたレモンを軽く絞って、皮ごとグラスに落とし、軽くステアする。それだけだ。レモンサワーのように炭酸で割らないから、レモンそのものの味がまっすぐ伝わる。

おもしろいのは、この「炭酸を入れない」という一点が、味の方向をまるごと変えているところだ。レモンサワーが爽快さで押してくるのに対して、水レモンは静かで、食事のじゃまをしない。だからこそ地元の食卓や居酒屋に長く根づいてきたのだろうと思う。


支えているのは、片浦のレモン

水レモンの主役は、なんといってもレモンだ。小田原には片浦という地区があって、相模湾を見下ろす斜面で、長くレモンが育てられてきた。片浦レモンはノーワックス・防カビ剤不使用で、皮ごと使えることで知られている。

水レモンが皮ごとグラスに入れるスタイルなのは、この片浦レモンの存在と無関係ではないはずだ。皮まで安心して使えるレモンが地元にあったから、絞ったあとの皮も惜しまず一緒に入れる——そういう飲み方が自然に育っていった。土地のレモンと、土地の飲み方が、セットで根づいている。これは小田原ならではのものだと思う。

ここははっきり書いておきたい。本式の「水レモン」は、焼酎ベースで、片浦のレモンを使うのが筋だ。うちはそのどちらでもない。だから「本物の水レモンを再現しました」とは言わない。あくまで、お隣の文化として紹介させてもらっている、という立ち位置だ。


うちは湯河原産の湘南潮彩レモンと大吟醸。だから「別アレンジ」になる

では、湯河原産レモンの蔵元が炭酸なしのレモン割りを作ると、どうなるか。

私たちが造っている「クラッチュ 湘南潮彩レモン40」は、神奈川県湯河原産の「湘南潮彩レモン」を100%使い、清酒(大吟醸)と醸造アルコールをベースにしたレモンサワーの素だ。果汁は40%とかなり濃い。水レモンが「焼酎+片浦レモン」なら、こちらは「大吟醸ベース+湯河原産の湘南潮彩レモン」。産地もベースも違う。

産地の話を正直にすると、湯河原と小田原・片浦は、同じ相模湾沿いではあるけれど別の土地だ。湯河原は熱海の隣、神奈川の最南端。片浦は小田原市内。だから湯河原産の湘南潮彩レモンを使ううちが「水レモンを名乗る」のは、やっぱり違うと思っている。同じ柑橘でも、育つ斜面が違えば味も少し変わる。その違いを曖昧にしたくない。

そのうえで、炭酸を使わずレモンの味をまっすぐ感じる、という水レモンの楽しみ方そのものは、クラッチュでも十分に成り立つ。果汁が濃いぶん、レモンの存在感は炭酸なしでもしっかり出る。大吟醸ベースのまろやかさが水の中でゆっくり広がって、焼酎の水レモンとはまた別の、穏やかな表情の一杯になる。同じ「炭酸なしのレモン割り」でも、ベースと産地が変われば別物になる——その差を楽しんでもらえたら、と思う。

具体的な分量や、水以外の割り材を使ったアレンジは、クラッチュを炭酸以外で割るアレンジまとめの水割りの項にまとめてある。グラスに氷、クラッチュ30ml、冷水90〜120mlが目安だ。レシピだけ知りたい人はそちらをどうぞ。


小田原に行ったら、本式を。家では、もう一つの選択肢を

いちばんいいのは、小田原に行ったときに、地元の店で本式の水レモンを頼んでみることだと思う。焼酎と片浦レモンの、その土地でしか出会えない一杯がそこにある。ご当地ドリンクは、その土地で飲むのがやっぱり一番だ。

そのうえで、家で炭酸なしのレモン割りを楽しみたいとき、湯河原産の湘南潮彩レモンと大吟醸のクラッチュという選択肢もある、というくらいの気持ちで読んでもらえたら嬉しい。同じ神奈川の柑橘文化の、少し違う枝として。

クラッチュ 湘南潮彩レモン40

PRODUCT

クラッチュ 湘南潮彩レモン40

神奈川・湯河原産の湘南潮彩レモン100%・果汁40% / 清酒(大吟醸)+醸造アルコールベース・糖類ゼロ・香料ゼロ

720ml ¥2,750・1800ml ¥4,950(税込)/ 蔵元直送

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