御神酒とは — 神様に供える酒の意味と、地元の蔵の酒を選ぶということ
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「御神酒」という言葉は知っていても、いざ用意する場面になると戸惑う人は多い。結婚式の三三九度、地鎮祭、お正月の振る舞い酒、町内の祭り——御神酒が必要になる場面は意外と多いのに、何を選べばいいのか、どこで買えばいいのか、はっきりとした答えが見つからない。
私たちは神奈川県秦野市で明治元年から酒を醸してきた蔵元だ。蔵の名前「白笹鼓(しらささつづみ)」は、すぐ近くに鎮座する白笹稲荷神社に由来している。神社と酒蔵が隣り合う土地で酒を造ってきた立場から、御神酒のことを書いてみたい。
御神酒とは何か
御神酒(おみき)とは、神社で神様にお供えする酒のことだ。 神前の祭壇に置かれた白い瓶子(へいし)に入っている酒がそれにあたる。お供えした後に参拝者がいただく「お下がり」も含めて御神酒と呼ぶ。
日本では古くから、米から造った酒は神聖なものとされてきた。稲作と酒造りは切り離せない関係にあり、米の豊作を感謝して神様に酒を捧げる行為は、日本文化の根幹に触れるものだ。神社で行われる祭祀のほとんどに酒が関わっている。
そしてもうひとつ大事なのは、御神酒は神様にお供えした後に人が飲むということだ。神前に供えた酒を「お下がり」としていただくことで、神様の力を分けてもらう——これが御神酒の本来の意味だ。三三九度で新郎新婦が盃を交わすのも、地鎮祭で土地に酒を撒くのも、すべてこの考え方に基づいている。
御神酒は、神様と人をつなぐ酒。供えて、いただいて、縁を結ぶ。
御神酒にはどんな酒を使うのか
御神酒に使う酒に厳密な決まりはない。 清酒(日本酒)が一般的だが、歴史的には濁り酒が使われていた時代の方が長く、地域によっては白酒(しろき)・黒酒(くろき)を供えるところもある。
「清酒でなければならない」と思っている人は多いが、実際はそうではない。大事なのは「米から造った酒であること」であり、特定の銘柄やグレードでなければならないということはない。
ただし、慶事——結婚式、地鎮祭、竣工式——に使う御神酒は、やはりきちんとしたものを選びたいという気持ちがある。その場合、純米酒や本醸造以上のものを選ぶ人が多い。のし紙をかけて「奉献」と書いて納めるなら、見た目の格も大切だ。
もうひとつ、せっかくなら地元の蔵の酒を選んでほしい。
御神酒は、その土地の神様にお供えする酒だ。であれば、その土地の水で、その土地の米を使って醸した酒が、いちばん筋が通っている。大手メーカーの酒が悪いわけではないが、土地と酒と神様のつながりを考えると、地元の蔵の酒を選ぶ意味は大きい。
御神酒ののし・本数・奉納の作法
御神酒ののし紙は、紅白の蝶結び(花結び)が基本だ。 表書きは神社に奉納する場合は「奉献」、自宅の神棚に供える場合は「御神酒」と書く。
実際に御神酒を用意するとき、細かい作法が気になる人は多い。基本をまとめておく。
のし紙。 紅白の蝶結び。表書きは「奉献」または「御神酒」。水引の下に奉納者の名前(個人名・会社名)を書く。
本数。 神社への奉納は一升瓶2本を重ねるのが正式とされるが、1本でも失礼にはあたらない。地鎮祭では1本が一般的だ。720mlの瓶でも問題ない。大事なのは気持ちであって、瓶の大きさや本数ではない。
酒の種類。 厳密な決まりはない。ただし慶事に使う場合は、純米酒や本醸造以上のものを選んでおくと間違いがない。「大吟醸」を選べば格としても最上位だ。
奉納の仕方。 神社の社務所に「御神酒を奉納したい」と伝えれば、受け付けてもらえる。お祭りや行事の際に持参する場合も、まず社務所に声をかけるのが丁寧だ。
御神酒が必要になる場面
御神酒は結婚式の三三九度、地鎮祭、竣工式、お正月の振る舞い酒、町内の祭りなど、さまざまな場面で使われる。 一生のうちに何度も用意する機会がある。
結婚式(三三九度)。 神前式で新郎新婦が盃を交わす三三九度は、御神酒の最も知られた場面だ。大小三つの盃で三度ずつ飲み交わすことで、夫婦の契りを結ぶ。使う酒は神社が用意することが多いが、持ち込みを希望する場合は事前に相談すればいい。詳しくは結婚式の三三九度・御神酒を選ぶにまとめている。
地鎮祭・上棟式。 家を建てるとき、土地の神様に安全を祈願する地鎮祭。御神酒は四方の土地に撒いて清め、参列者もいただく。施主が用意するのが一般的だ。地鎮祭の御神酒を蔵元から手配するも参考になる。
お正月。 初詣の振る舞い酒、家庭の神棚へのお供え。正月三が日の御神酒は一年の始まりを祝うものだ。
町内の祭り・行事。 秋祭り、例大祭、地域の神事。まとまった本数が必要になることも多い。
神奈川の神社と地元の蔵
神奈川県には全国区の神社と、その土地で酒を醸し続けている蔵元が14蔵ある。 参拝する神社の近くに蔵があるというのは、御神酒選びにとって最高の贅沢だ。
| 神社 | 所在地 | 近くの蔵元エリア |
|---|---|---|
| 鶴岡八幡宮 | 鎌倉 | 湘南・鎌倉エリア |
| 寒川神社 | 寒川 | 湘南エリア |
| 川崎大師 | 川崎 | 東京近郊 |
| 箱根神社 | 箱根 | 小田原・足柄エリア |
| 白笹稲荷神社 | 秦野 | 秦野・丹沢エリア(金井酒造店) |
14蔵の詳しい情報は神奈川の地酒・酒蔵ガイドにまとめている。
白笹稲荷神社と白笹鼓
金井酒造店の主要銘柄「白笹鼓」の名前は、白笹稲荷神社に由来している。
白笹稲荷神社は、京都・伏見稲荷大社より御霊を勧請した神社で、江戸時代に編纂された「新編相模風土記」にも初午祭の賑わいが記されている。関東三大稲荷のひとつとも称され、昭和初期には境内が人であふれかえるほどの参拝者を集めていた。
その神社のすぐ近くで、明治元年から酒を造ってきた。表丹沢の伏流水——環境省の名水百選にも選ばれた秦野盆地湧水群の中硬水——で仕込む酒に、神社の名を冠する。土地の水で酒を醸し、土地の神様に供える。これ以上に自然なことはない。
白笹稲荷神社の宮司にお話を伺ったインタビュー記事もある。Vol.10 古来より秦野に鎮座する関東三大稲荷「白笹稲荷神社」
オリジナルの御神酒ラベルも作れます
金井酒造店では、御神酒用のオリジナルラベルのご注文も承っている。神社名や行事名を入れた専用ラベルを貼った御神酒を、蔵元から直接お届けすることができる。
町内会のお祭り、企業の地鎮祭、神社の行事など、まとまった本数が必要な場合もご相談いただきたい。詳しくはオリジナル御神酒・OEMのご案内をご覧いただくか、直接お問い合わせください。
御神酒におすすめの白笹鼓
白笹鼓 大吟醸(¥4,400〜) — 格式のある場に。華やかな吟醸香と端正な味わい。贈答・慶事の御神酒に。
白笹鼓 特別純米(¥1,870〜) — 米と水だけで醸した、表丹沢の名水仕込み。お下がりとしても美味しい一本。
白笹鼓 本醸造(¥1,540〜) — 日常の御神酒に。町内の祭りや神棚のお供えに。食中酒としてもお下がりが美味しい。
どれを選ぶか迷ったら、蔵元AIが6つの質問であなたに合う一本を選びます。御神酒選びの参考にもなります。