梅酒とは — 焼酎・日本酒と何が違うのか、原料と分類から

「梅酒って焼酎なんですか?それとも日本酒?」

蔵で聞かれることがある。結論から言うと、どちらでもない。でも、どちらの要素も入り得る。このややこしさが、梅酒という酒の面白いところだと思う。


目次

梅酒とは何か

梅酒とは、青梅を酒に漬け込んで、梅の香りと酸味を移し取った酒のことだ。 酒税法上の分類は、焼酎でも日本酒でもなく、「リキュール」になる。

リキュールというのは、酒に果実や草根木皮、糖などを加えて、エキスト分(糖分などの不揮発成分)が一定以上になった酒の分類名だ。梅酒のほかに、カシスやユズ酒もここに入る。

つまり梅酒は、「何の酒で作ったか」ではなく「何を加えたか」で分類されている。だから焼酎で漬けても日本酒で漬けても、でき上がるのは同じ「リキュール」になる。


梅酒は焼酎か、日本酒か

この質問が絶えないのは、市販の梅酒のほとんどが焼酎ベースだからだ。

もっとも一般的なのはホワイトリカー。これは甲類焼酎のことで、連続式蒸留でクセを徹底的に抜いたアルコールだ。味がないからこそ梅の香りがまっすぐに出るし、度数が高いので梅の成分をしっかり引き出せる。漬け込みにはとても合理的な選択だ。

一方で、日本酒で漬けた梅酒もある。こちらは数が少ない。むしろ日本酒を造っている蔵が、自分の酒を使って仕込むケースが多い。

だから「梅酒は焼酎ですか」という問いの答えは、「多くは焼酎ベースだが、梅酒自体は焼酎ではなくリキュール」になる。同じく「日本酒ですか」の答えも、「日本酒で漬けたものもあるが、分類としては日本酒ではない」。ラベルの原材料欄を見れば、何をベースにしているかはすぐにわかる。

なお、家庭で梅酒を漬けるのは、アルコール分20度以上の酒を使うなど一定の条件のもとで認められている。市販の梅酒に度数の高い酒が使われるのには、味の面だけでなくこういう背景もある。


ベースの酒で味が変わる

梅酒を選ぶときに一番効いてくるのが、このベースの違いだ。まずは全体像を。

ベース 味の傾向
ホワイトリカー(甲類焼酎) クセがなく、梅の香りがまっすぐに出る。最も一般的
本格焼酎(麦・米・芸香) 焼酎の香りが残る。好みが分かれやすい
日本酒 米の旨味が乗る。度数は低めで食事に合わせやすい
ブランデー 樽の香りとコク。重厚で食後向き

どれが優れているという話ではない。梅の香りを真っすぐに楽しみたいならホワイトリカーベースが理にかなっているし、食事と合わせたいなら日本酒ベースが向いている。目的が違う。

四つのベースをもっと丁寧に見比べたい場合は、梅酒のベース比較|ホワイトリカー・ブランデー・焼酎・日本酒で何が変わるに分けて書いています。

度数もベースで変わる。一般的な梅酒は15度前後だが、日本酒ベースのものは10度前後になることが多い。割り方ごとの度数の目安は梅酒の度数はどれくらい?割り方別の一覧にまとめています。


梅酒の原料は何か

基本はベースの酒・梅・糖の3つだけ。これだけで梅酒になる。

ただし市販品の中には、酸味料や香料、糖類を調整して味を整えているものもある。悪いことではなく、大量に安定して作るための工夫だ。逆に原材料が3つしかない梅酒は、その分年によって味が振れる。

梅の量も味を大きく左右する。漬け込む梅が多いほど酸味と香りが濃くなるが、その分原価も上がる。ラベルには書かれないことが多い部分だが、味の差はここに出る。


日本酒ベースという選択肢

金井酒造店のウメザケは、自分の億した日本酒に秦野産の梅を漬けている。原材料は日本酒・梅・糖の3つだけで、仕込みに使う梅の量は全体の40%。前の年の梅酒を継ぎ足しながら仕込んでいる。

度数は9度台。一般的な梅酒より低いのは、ベースが日本酒だからだ。その分、食事の途中で飲み続けても重くならない。全国梅酒品評会の日本酒梅酒部門で銀賞をいただいた一本でもある。

梅酒を食後酒としてだけでなく、食事の横に置いておきたい人には、このタイプが合うと思う。日本酒ベースの梅酒をもう少し詳しく見たい方は梅酒のおすすめは日本酒ベース|ふつうの梅酒との違いをどうぞ。

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