小田原・足柄の酒蔵をめぐる — 松みどり・箱根山・白笹鼓、丹沢麓の蔵ガイド

小田原・足柄上郡から秦野にかけてのエリアは、神奈川県内で最も酒蔵が密集している地帯だ。丹沢山系・箱根山系を水源とする豊富な伏流水と、山間の気候が、この地域の酒造りを長年支えてきた。

このエリアを流れる酒匂川(さかわがわ)は、丹沢・箱根の山系から水を集め小田原で相模湾に注ぐ一級河川だ。「酒」の字が入る川名が示すように、この流域は古くから良質な水と酒造りが結びついてきた土地柄でもある。

小田原市・松田町・山北町・開成町・秦野市に蔵が集まり、それぞれ異なる個性の地酒を造っている。東京国税局が公表する神奈川県の酒蔵マップでも、このエリアへの蔵の集中が確認できる。


目次

エリアの酒蔵

小田原・足柄の酒蔵をめぐる — 松みどり・箱根山・白笹鼓、丹沢麓の蔵ガイド — エリアの酒蔵 ※ 写真はイメージです

曽我の誉(石井醸造 / 小田原市)

明治3年創業。小田原市・曽我梅林のほど近くに蔵を構える。「曽我の誉」は地名に由来する銘柄で、「もち四段仕込み」という独自製法で仕込む濃醇な味わいが特徴だ。梅の産地・曽我の風土と結びついた蔵で、梅酒なども手がける。

特徴: もち四段仕込みの濃醇な味わい、梅酒も製造

HINEMOS(株式会社ライスワイン / 小田原市)

2018年設立。酒蔵を小田原市に置く神奈川の蔵元だ。「時間に寄り添う日本酒」をコンセプトに、時刻ごとに飲むお酒を提案する「HINEMOS(ヒネモス)」シリーズを展開。デザイン性の高いボトルと現代的なブランディングで、直営店を中目黒・原宿・横浜等にも構える。

特徴: 時刻コンセプトの現代的ブランド、スタイリッシュなボトルデザイン

松みどり(中澤酒造 / 松田町)

松田町に蔵を構える中澤酒造の銘柄。足柄の地元に根付いた地酒として、地域の飲食店や酒販店での流通が中心。松田町は小田急線で新宿から約1時間20分と、首都圏からも日帰りで来られる距離にある。

仕込み水: 足柄山系の水
特徴: 地元密着型、食中酒として造られた定番酒

箱根山(井上酒造 / 山北町)

寛政元年(1789年)創業。足柄上郡山北町に蔵を構える。「箱根山」は箱根・足柄エリアを代表する銘柄として認知度が高く、地元の飲食店や土産店でも取り扱いがある。箱根のお土産に地酒を選ぶ際の参考はこちら。丹沢山水系の深層地下水を仕込み水に使い、和釜・箱麹法の丁寧な造りで知られる食中酒だ。

仕込み水: 丹沢山水系の深層地下水
特徴: 箱根・足柄を代表する銘柄、観光土産としても流通

丹沢山・隆(川西屋酒造店 / 山北町)

同じく山北町に蔵を構える。「丹沢山」は丹沢の山をテーマにした銘柄で、登山者にも親しまれている。「隆(りゅう)」は全国の日本酒ファンから注目を集め、入手が難しくなる時期もある実力派だ。全量純米蔵として、地元足柄の米と丹沢山系の水にこだわる。

山北町は御殿場線沿線にあり、箱根方面への抜け道にもなるルート上に位置する。

酒田錦・セトイチ(瀬戸酒造店 / 開成町)

開成町の蔵元。開成は足柄上郡の中でも交通の便が良く、小田急線の開成駅から近い。「酒田錦」「セトイチ」「あしがり郷」の3ブランドを展開。近年のリブランディングで若い世代にも届く発信を行っている。


秦野まで足を延ばすなら

小田原・足柄の酒蔵をめぐる — 松みどり・箱根山・白笹鼓、丹沢麓の蔵ガイド — 秦野まで足を延ばすなら ※ 写真はイメージです

足柄上郡から東に移動すると秦野市に入る。ここに金井酒造店がある。

白笹鼓(金井酒造店 / 秦野市)

明治元年(1868年)創業。表丹沢の伏流水、環境省の名水百選に選ばれた水を仕込み水に使う。白笹鼓は純米・本醸造・大吟醸の3ラインを展開し、渡す相手に合わせて選べる。

足柄から秦野への移動は車で30〜40分。同じ丹沢山系の水を使いながら、松田・山北の蔵とはまた異なる酒質を持つ。飲み比べると、同じ山の水でも蔵ごとに個性が出ることが分かる。

オンラインストアからの注文も可能で、蔵元直送で届く。


このエリアを訪れるルート

東京・横浜方面から来るなら

  • 小田急線 → 小田原駅(小田原の蔵へ)
  • 小田急線 → 新松田駅または開成駅で下車(松田・開成の蔵へ)
  • さらに御殿場線で山北駅(山北の蔵へ)
  • 秦野市は小田急線 秦野駅下車

箱根から来るなら

  • 箱根 → 小田原経由 → 松田・山北方面(小田原で石井醸造・HINEMOSに立ち寄れる)

一日で複数の蔵を訪れるには、車移動が現実的だ。


下り酒とは別の「地の酒」の系譜

江戸時代、灘(兵庫)・伏見(京都)から江戸へ海上輸送された高級酒を「下り酒」と呼ぶ。この下り酒が江戸の武家・裕福な町人に流通していた時代、足柄・小田原・秦野の蔵元たちは、それが届きにくい地元の農村・宿場町に向けた酒を造ることで根付いてきた。

酒匂川流域の農村では米が栽培され、丹沢・箱根山系の伏流水が豊富にあった。地元の米と水で、地元の人が日常的に飲む酒を仕込む——この「地の酒」の文脈が各蔵の創業の背景にある。中澤酒造(1825年)・川西屋酒造店(1897年)・金井酒造店(1868年)など、各蔵の創業年がそれぞれ地域の農業・宿場文化の時代と重なっている。


蔵元直送でお取り寄せ

現地に行けない場合も、金井酒造店のオンラインストアから白笹鼓・クラッチュを取り寄せできる。足柄・秦野エリアの地酒として、蔵元直送で届く。


白笹鼓のラインナップ → 金井酒造店オンラインストア
神奈川の全酒蔵まとめ → 神奈川の酒蔵14蔵
丹沢山系の地酒について → 名水仕込みの蔵が集まる理由
箱根のお土産に地酒を → 箱根山・白笹鼓、神奈川の蔵元から届く一本
神奈川の日本酒おすすめ → 14蔵の地酒から蔵元が選ぶ銘柄
神奈川県の酒蔵マップ → 東京国税局
神奈川県酒造組合 → kanagawa-jizake.or.jp


蔵元直送のオンラインストア

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