東京から60分・秦野観光完全ガイド — 名水の町の遊び方と、蔵元の一日

※ 写真はイメージです

神奈川県秦野(はだの)市は、丹沢山系のふもとに広がる「名水の町」だ。環境省の名水百選に選ばれた湧き水があり、街なかのあちこちで丹沢の伏流水が湧いている。

うちは、その秦野で明治元年から酒を造っている蔵元だ。仕込み水はこの土地の地下水。つまり毎日、この町の水と向き合って暮らしている。そんな地元目線で、秦野の歩き方を一日まるごと案内してみたい。観光地としての派手さはないけれど、「水・自然・歴史・温泉・酒」がぎゅっと詰まった、日帰りでちょうどいい町だと思う。

この記事は、秦野のスポットごとに書いてきた個別記事(湧き水・絶景・温泉・グルメなど)を一本につないだ「総合ガイド」だ。気になったところは各記事に飛んで深掘りしてほしい。

秦野とは — 丹沢の麓の、名水の町

秦野は、神奈川県の西部、丹沢山地の南側にある盆地の町だ。いちばんの個性は「水」。丹沢に降った雨や雪解け水が長い年月をかけて地下に蓄えられ、市内のあちこちで湧き出している。その湧水群は環境省の名水百選(1985年選定)に選ばれていて、水道水にも地下水が使われているほど水が豊かな土地だ。市内には20を超える湧水ポイントがあるとされる。

盆地という地形も効いている。周囲を山に囲まれているから雨水が盆地に集まり、地下水が豊富に保たれる——天然のダムのような土地なのだ。観光のとっかかりとしても、この「水」を軸に回ると秦野はわかりやすい。

名水を巡る — 湧き水スポットめぐり

秦野観光のいちばんの入口は、やっぱり湧き水だと思う。秦野盆地湧水群は名水百選に選ばれた軟水で、口当たりがやわらかくクセがない。

市内には弘法山公園の「弘法の清水」、渋沢丘陵の「葛葉の泉」、白笹稲荷神社周辺の湧水、丹沢山麓の「護摩屋敷の湧水」など、容器を持参すれば自由に汲めるスポットが点在している。ハイキングのついでに汲んで山頂で一杯、というのもいい。どこをどう回るかは秦野の湧き水ガイドに詳しくまとめたので、水汲みを目当てに来るならまずこちらを読んでほしい。汲んだ水は、お茶を淹れたり、ごはんを炊いたりすると軟水の良さがよくわかる。

※ 写真はイメージです

絶景と自然 — 菜の花台・ヤビツ峠・弘法山

景色を楽しむなら、丹沢方面へ少し上がるといい。菜の花台展望台(標高約560m)からは秦野盆地が一望でき、晴れた日には相模湾や江の島まで見える。夜景スポットとしても知られている。その先のヤビツ峠(標高約761m)は、ドライブやヒルクライム、丹沢登山の起点として人気だ。ロードバイク乗りには「聖地」と呼ばれている。

もっと気軽に歩くなら、弘法山。秦野駅から歩いて登れて、桜やアジサイの季節は特にいい。このあたりの自然の楽しみ方は菜の花台・ヤビツ峠表丹沢で遊ぶ、丹沢ハイキングにまとめてある。歩いて喉が渇いたら、まずは湧き水でひと息つくのがいい。

寺社と歴史 — 白笹稲荷神社

秦野で外せない寺社が、白笹稲荷神社(秦野市今泉)だ。京都の伏見稲荷大社、愛知の豊川稲荷と並んで「関東三大稲荷のひとつ」とも称される古社で、古くから地域に親しまれてきた。

じつはうちの主要銘柄「白笹鼓(しらささつづみ)」は、この白笹稲荷神社に由来している。境内やその周辺にも湧水ポイントがあるので、参拝と水汲みをあわせて楽しめる。神社の話は宮司さんに伺ったインタビュー記事にくわしい。

温泉 — 歩いたあとにひと風呂

秦野は日帰り温泉も充実している。観光や水汲み、ハイキングのあとに立ち寄れる施設がいくつかある。

弘法の里湯や鶴巻温泉エリアなど、目的地の近くで選べるのがいい。施設ごとの雰囲気は富士見の湯の記事も参考にしてほしい。料金や定休、営業時間は変わることがあるので、行く前に各施設の公式情報を確認してから向かうのが安心だ。

グルメ — 名水の町の食べ歩き

水がいい町は、食べ物もいい。秦野は蕎麦やうどんの名店があり、名水で打つ麺は地元でも評判だ。古民家を改装した「白笹うどん 多奈加」のような、年月の積み重なった空間で味わえる店もある。

何を食べるか迷ったら、秦野のグルメ案内一の屋の記事も覗いてみてほしい。こちらも、お店の最新の営業状況は事前に確認してから出かけるのがおすすめだ。

酒蔵を訪ねる — 金井酒造店の蔵見学と直売所

せっかく名水の町に来たなら、その水で造られた酒も味わってほしい。金井酒造店は明治元年(1868年)創業、秦野の地下水を仕込み水に使い続けてきた蔵だ。仕込み水は地下約80mから汲み上げる秦野の天然地下水で、丹沢山系の恵みそのものになっている。

蔵見学は一般のお客さまも要予約で受け付けている。酒造りの工程を順に見て回れる見学だ。直売所では、定番の白笹鼓シリーズから、大吟醸ベースのレモンサワーの素「クラッチュ」まで、蔵の酒を直接選べる。酒粕や甘酒など、蔵元ならではの品もある。「秦野の水で造るとこういう味になる」というのを、水汲みのあとに選んで帰ると、土地と酒がつながって面白いと思う。

見学を受け付けるのは土曜と平日が中心で、日曜・祝日はお休みをいただいている。大型バスでお越しの団体ツアーなどは、内容に応じて別途ご相談いただきたい。料金や所要時間、空き状況は時期によって変わるので、来蔵前に下のページから最新を確認してほしい。見学のくわしい流れは酒蔵見学の記事にもまとめている。

秦野に来たら、蔵にも寄ってみませんか

金井酒造店の蔵見学・直売所のご案内はこちら。

蔵見学・直売所のご案内を見る →

モデルコース — 半日/一日の回り方

はじめての秦野なら、こんな回り方がおすすめだ。蔵見学を一日の真ん中に置くと、流れが組みやすい。

半日コース(午後):秦野駅 → 湧き水スポットで水汲み → 金井酒造店で蔵の酒を選ぶ → 日帰り温泉でひと風呂 → 駅へ。

一日コース:午前に弘法山ハイキング or 菜の花台で景色 → 名水で打った蕎麦・うどんで昼 → 白笹稲荷神社を参拝&周辺で水汲み → 金井酒造店で蔵見学・お土産選び → 温泉で締めて帰る。

車なら秦野中井ICを起点に、丹沢方面(菜の花台・ヤビツ峠)と市街地(神社・蔵・温泉)を組み合わせると効率がいい。具体的な一日の流れは秦野デートコース名水と酒の一日も参考に。

アクセス — 3つの集客圏からの行き方

秦野は、大きく3つの方面から「日帰りでちょうどいい」距離にある。それぞれの来やすさを整理しておく。

① 東京方面から(小田急で日帰り圏) 電車なら小田急線が便利だ。新宿から秦野駅までは、ロマンスカーで約60分、急行などの通常列車でも約70分。秦野駅・鶴巻温泉駅・渋沢駅の3駅が観光の起点になる。「思い立った週末にふらっと」という距離感なので、東京からの日帰りに向いている。駅からスポットへはバスや徒歩、レンタサイクルで回れる。

② 神奈川県内から 横浜方面からも電車・車でアクセスしやすい。同じ県内なので、半日でも組みやすい。湘南・県央エリアからも来やすく、「県内の近場で自然と水と酒を楽しむ」という日帰りに向いている。所要時間は経路や道路状況で変わるので、出発前に乗り換え案内やナビで確認しておくと安心だ。

③ 静岡東部から(御殿場・沼津・三島方面、高速道路で) 意外と知られていないが、静岡県の東部からも車で来やすい。高速の出口は2つ。東名高速なら「秦野中井IC」から約15分、新東名高速なら「秦野丹沢IC」から約10分で市街地に着く。御殿場・沼津・三島方面からは、新東名や東名でこの2つのICが秦野への入口になる。富士山側からのドライブの締めに、丹沢の水と酒を味わって帰る——という使い方ができる。丹沢方面の湧水や展望台、ヤビツ峠まで足を伸ばすなら、車のほうが小回りが利く。

なお、市内の主要スポット間も車だと回りやすい。水汲みをするなら、空のペットボトルやポリタンクを持っていくのを忘れずに。

よくある質問

どのくらい時間がかかる? 水汲みと蔵見学だけなら半日、ハイキングや温泉まで含めるなら一日みておくとちょうどいい。

子連れでも楽しめる? 弘法山の散策や水汲みは家族連れにも向いている。展望台からの景色も子どもに喜ばれる。

雨の日は? 温泉・酒蔵・グルメは雨でも楽しめる。屋外スポット中心の日は天気を見て調整を。

駐車場は? 主要スポットには駐車場があることが多いが、混雑時や台数には限りがある。詳細や料金の有無は各スポットの公式情報で事前に確認しておくと安心だ。

秦野は、観光地というより「暮らしの水のよさ」がそのまま魅力になっている町だと思う。その水で造った酒を蔵で待っているので、名水巡りのついでにぜひ寄ってみてほしい。お酒は二十歳になってから、適量で。

お土産の一本、迷ったら

蔵元のAIが、好みに合う一本を選びます。所要時間は約3分。

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※ 各スポットの営業時間・料金・定休日・駐車場、施設の現存状況は変わることがあります。お出かけ前に各施設・自治体の公式情報をご確認ください。名水百選「秦野盆地湧水群」は1985年(昭和60年)環境省選定。


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