梅酒のベース比較|ホワイトリカー・ブランデー・焼酎・日本酒で何が変わる

梅酒を選ぶとき、産地や梅の品種に目が行きがちですが、味の方向をいちばん大きく決めているのは、梅を漬け込んだベースのお酒です。同じ梅を使っても、ベースが違えばまったく別の飲み物になります。

ここでは代表的な四つのベース——ホワイトリカー、ブランデー、焼酎、日本酒——が、それぞれどう味に出るのかを整理します。日本酒を仕込んでいる蔵の立場から書くので、日本酒ベースの話は少し詳しくなります。そこは差し引いて読んでください。

※ 写真はイメージです

目次

一覧で見る、ベース別の違い

ベース 味わい 度数の傾向 向く場面
ホワイトリカー 無色・無臭の土台。梅の香りがまっすぐに立ち、すっきりキレる 高め(12〜15%前後) 王道の味を求めるとき
ブランデー 樽由来の甘い香りとコク。色も濃く、濃厚 高め 食後にゆっくり
焼酎(乙類) 麦・米・芋など原料の風味が残り、個性が出る やや高め 焼酎好きに
日本酒 米の旨味が土台にある。口当たりがやわらかく、後味に奥行き 低め(10%前後) 食事と一緒に/甘い酒が苦手な人に

そもそも梅酒が酒税法上どう分類されるのかは、梅酒とは — 焼酎・日本酒と何が違うのかにまとめています。

ホワイトリカーベース — いちばん多い、王道の梅酒

日本で売られている梅酒の多くが、このホワイトリカー(甲類焼酎)ベースです。家庭で漬けるときも定番になっています。

ホワイトリカーは、蒸留を重ねてクセを取り除いたお酒です。味も香りもほとんどない「無色の土台」だからこそ、梅の香りと酸がまっすぐ前に出ます。 梅そのものを味わいたいなら、この選択が理にかなっています。

裏を返すと、味の骨格は梅と糖分だけでつくられます。だから商品による差は「梅の品種・量・糖の種類」で決まり、ベースそのものの個性は乗りません。

ブランデーベース — 濃厚で、食後向き

ブランデーで漬けると、樽由来の甘い香りとコクが加わります。色も濃く出て、見た目からして重厚です。梅の酸味とブランデーの甘い香りが重なるので、デザート的な一杯になります。

食中よりも、食後にゆっくり飲む場面に向きます。ロックか、少し温度を上げてストレートで。

焼酎(乙類)ベース — 原料の個性が乗る

麦・米・芋といった本格焼酎で漬けると、その原料の風味が梅に重なります。ホワイトリカーが「無色の土台」なのに対し、こちらは土台にも味がある。焼酎が好きな人ほど面白がれる組み合わせです。

ただし主張の強い焼酎だと、梅の繊細な部分が隠れることもあります。銘柄との相性がはっきり出るタイプです。

日本酒ベース — 数は少ないが、別のジャンル

そして日本酒ベース。大手ブランドの多くはホワイトリカーや醸造アルコールを使っているので、日本酒ベースの梅酒は数が多くありません。 見かけないだけで、飲み比べるとはっきり違います。

日本酒は、それ自体が米からできた旨味のあるお酒です。ホワイトリカーが「無色の土台」だとすれば、日本酒は「すでに味を持った土台」。 梅の甘酸っぱさの下に、米由来のふくよかさが敷かれる感覚になります。

結果として、口当たりがやわらかく、後味に奥行きが出ます。度数も10%前後と控えめに仕上がるので、アルコールの当たりが強くありません。「梅酒は甘ったるくて苦手」という人が、日本酒ベースだとすっと飲めた、という声をよくいただくのはこのためだと思います。

全国梅酒品評会に「日本酒梅酒部門」という区分が設けられていることからも、ひとつのジャンルとして扱われているのが分かります。

私たちの場合 — 秦野の梅を、自社の日本酒で

参考までに、私たちが造っている「白笹鼓 ウメザケ」の仕込みを書いておきます。

原材料は梅果(秦野産)・清酒(国産米)・果糖の三つだけ。神奈川・秦野で育った梅を、蔵の従業員が手摘みし、選別・洗浄したうえで自社の日本酒に漬け込みます。仕込みのときの日本酒に対して、梅の実を重量比で40%。梅をたっぷり使うぶん、原料も手間もかかります。手摘み・手仕込みで数に限りがあるのは、この仕込み方だからです。

もうひとつ特徴的なのが継ぎ足しです。新しく仕込んだ梅酒に、蔵で熟成させてきた梅酒を継ぎ足していきます。だから年度を重ねるごとに、味に深みが積み上がっていく。 毎年まったく同じ味を再現する造り方とは、考え方が逆です。去年の一本と今年の一本は同じにはなりませんが、そのかわり時間のぶんだけ角がとれて奥行きが出ます。

大量に均質なものを造る方法では、この積み上げは生まれません。小さな蔵で毎年少しずつ仕込んでいるからできる造り方だと思っています。

白笹鼓 ウメザケ(日本酒ベースの梅酒)

白笹鼓 ウメザケ

原材料は梅果(秦野産)・清酒(国産米)・果糖の三つだけ。仕込みは日本酒に対して梅の実40%(重量比)、熟成した梅酒を継ぎ足して深みを重ねています。アルコール度数9度以上10度未満。全国梅酒品評会 日本酒梅酒部門 銀賞/はだのブランド認証品。
720ml ¥2,750(税込)・手摘み手仕込みのため数量限定

ウメザケを見る・購入する →

どれを選べばいいか

好みの問題なので正解はありませんが、迷ったときの当たりのつけ方を書いておきます。

梅そのものをまっすぐ味わいたいなら、ホワイトリカーベース。 定番が定番である理由があります。濃厚な一杯を食後に楽しみたいなら、ブランデーベース。 焼酎が好きなら、本格焼酎ベース。 そして食事と一緒に飲みたい、甘ったるいのが苦手、お酒が強くない——このどれかに当てはまるなら、日本酒ベースを試す価値があります。

日本酒ベースの梅酒そのものについては梅酒のおすすめは日本酒ベース|ふつうの梅酒との違いに、飲み方による度数の違いは梅酒の度数はどれくらい?割り方別の一覧に、合わせる料理は梅酒に合う料理とおつまみにまとめています。甘さ控えめの一本を探すなら甘くない梅酒の選び方もどうぞ。

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ベースの違いは、贈り物として選ぶときにも効いてきます。「日本酒ベース」と添えられるだけで、渡すときに一言が生まれるからです。贈答としての選び方は梅酒ギフトの選び方に、この梅酒がどう生まれたかは秦野の梅で仕込む梅酒の話に書いています。

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