クラッチャ誕生秘話 — 日本酒蔵がお茶のクラフトリキュールを造った理由
Share
「なぜ、日本酒の蔵がお茶のお酒を造るんですか」——クラッチャ 足柄茶について、そう聞かれることがあります。たしかに、日本酒蔵が手がける一本としては、少し意外に映るかもしれません。この記事では、そのきっかけと、造るうえで大切にしたことを、つくり手の立場から正直に書いてみます。
日本酒の蔵が、お茶のお酒に向き合った
金井酒造店は、神奈川県秦野市の酒蔵です。日本酒づくりを本業としてきた蔵が、なぜお茶のお酒に手を伸ばしたのか。出発点はシンプルで、「日本酒の技術を、もっと自由に使えないか」という問いでした。
日本酒づくりで積み上げてきたのは、香りや旨みを丁寧に引き出し、雑味を抑えてまとめる技術です。その技術は、お米だけのものではないはずだ——そう考えたとき、身近にあったのが、同じ神奈川の地場茶「足柄茶」でした。お茶の繊細な香りを、お酒のなかにそのまま生かせないか。そこからクラッチャの試作が始まりました。
なぜ「足柄茶」だったのか
お茶ならどこのものでもよかったわけではありません。神奈川の蔵が造るのなら、神奈川のお茶で。足柄茶は、神奈川県西部・南足柄を中心とした山あいの茶どころで育つ緑茶で、寒暖差と霧のなかで香りと旨みをのせていくお茶です。地元の素材を地元の手で——という考えに、足柄茶はちょうど合っていました。
地場のお茶は、その土地ではおなじみでも、全国的にはまだ広く知られていないことが多いものです。足柄茶もそのひとつ。だからこそ、お酒という形でもう一度味わってもらえれば、神奈川のお茶のおもしろさを伝えられるのではないか。そんな思いもありました。足柄茶という産地のお茶については足柄茶の産地を知るで詳しく書いています。
造るうえでこだわったこと:香料に頼らない
クラッチャを造るうえで、ひとつ決めていたことがあります。香料で「お茶っぽさ」を付けない、ということです。
お茶の風味を手早く付けるなら、香料を使うやり方もあります。けれど、それでは「お茶の香りのするお酒」にはなっても、「お茶そのもののお酒」にはならない。日本酒づくりで香りに向き合ってきた蔵として、ここは譲れませんでした。
そこで選んだのが、足柄茶を粉茶と抹茶のダブルで使う方法です。粉茶がすっきりした香りとほのかな渋みを、抹茶がまろやかな旨みと深い香りを受け持つ。二つを重ねることで、香料に頼らずにお茶の厚みを出せます。ベースは清酒と醸造アルコールで、お茶の繊細な香りを邪魔しないように設計しました。糖類・香料は不使用です。なぜ粉茶と抹茶を重ねるのかは粉茶と抹茶のダブル仕込みで詳しく書いています。
「水で割るだけ」に込めたこと
もうひとつ大切にしたのは、飲み手の手間を増やさないことです。クラッチャは、水で割るだけで本格的なお茶割りになるように仕上げています。お茶を別に淹れる必要も、ペットボトルを用意する必要もありません。毎回ぶれずに、同じ味で飲める。
家でお茶割りを作ろうとすると、お茶の濃さがその都度変わって味が決まりにくい——そんな小さなつまずきを、最初の一本のなかで解いておく。それが、つくり手にできる気づかいだと考えました。
クラッチャ 足柄茶
清酒と醸造アルコールをベースに、神奈川・足柄の地場茶「足柄茶」を粉茶と抹茶のダブルで合わせたクラフトリキュール。糖類・香料は不使用で、茶葉の旨みと香り、ほのかな渋みをそのままお酒に。水で割るだけで本格的なお茶割りになります。アルコール度数25度。
720ml ¥2,750(税込)/1800ml ¥4,950(税込)
クラッチャ 足柄茶を見る・購入する →
※ 写真はイメージです
まとめ
クラッチャ 足柄茶は、日本酒の蔵が「技術をもっと自由に使えないか」という問いから生まれた一本です。神奈川の足柄茶を、香料に頼らず粉茶と抹茶のダブルで仕込み、水で割るだけで楽しめるように仕上げました。
日本酒蔵がお茶のお酒を造る——その意外さの裏には、香りに向き合ってきた蔵だからこその考えがあります。気になった方は、ぜひ一度味わってみてください。