箱根グルメガイド|何を食べる・食べ歩き・地酒

箱根で何を食べるか——温泉や美術館の予定は決まっても、食事だけは後回しになりがちだ。箱根は山あいに温泉地が点在する街で、エリアによって食の顔がはっきり変わる。箱根湯本の蕎麦と食べ歩き、強羅・宮ノ下の落ち着いた一品、芦ノ湖の湖畔めし、仙石原ののどかな食卓。動線を考えずに回ると「結局どこで何を食べればよかったのか」になりやすい。

この記事では、箱根で食べるものをエリアと時間帯ごとに整理する。箱根湯本のランチと食べ歩き、強羅・宮ノ下の一品、芦ノ湖の湖畔、仙石原ののどかな食、そして黒たまご・湯葉・甘味・寄木細工みやげといった箱根らしいもの。最後に一日の組み立て方まで。私は秦野で酒を造っている金井酒造店の人間なので、箱根の食に「どんな一杯を合わせると気持ちいいか」という地酒目線も少しだけ添えておきたい。和食や宿の食事・贈りものの文脈なら日本酒の白笹鼓、食べ歩きや帰り道のカジュアルな一杯ならクラフトリキュールのクラッチュ、というふうに、場面で自然に振り分けて紹介する。

ひとつ正直に書いておくと、金井酒造店は秦野の蔵で、箱根の地元蔵ではない。箱根に酒蔵はないので、ここで紹介するのは「箱根の食を楽しんだ日に、神奈川の地酒を帰り道やみやげに合わせる」という角度の話だ。固有の店名はあえて断定で挙げない。箱根は店の入れ替わりもあり、時期によって営業も変わる。「こういうものが、このエリアに多い」という地図として読んでもらうのが、いちばん役に立つはずだ。

※ 写真はイメージです


目次

まず地図を頭に入れる — 箱根のエリア感と動線

食べるものを語る前に、ざっくりした地理を押さえておくと動きやすい。箱根の食エリアは、大きく四つに分けて考えるとわかりやすい。

箱根湯本。小田急やロマンスカーで着く玄関口で、駅前から温泉街の商店が続く。蕎麦、食べ歩き、みやげがいちばん集まるのはここ。到着直後の昼や、帰る前のしめの一食に向いている。

強羅・宮ノ下。箱根登山鉄道やケーブルカーで登った中腹のエリア。美術館や老舗の宿が多く、食事も落ち着いた一品もの・甘味が中心になる。彫刻の森やポーラ美術館を巡る日の食事はこのあたりで取ることが多い。

芦ノ湖。箱根の奥、湖畔のエリア。海賊船や箱根神社の参拝とセットで、湖を眺めながらの食事になる。観光の主役と食事が同じ場所にあるので、景色重視で腰を据えたい日に。

仙石原。すすき草原で知られる高原エリア。人混みから少し離れて、のどかな空気の中で食べたいときに足を延ばす価値がある。

つまり、「湯本で着いてすぐ食べる/登って強羅・宮ノ下で一品」「芦ノ湖で湖を見ながら」「仙石原でのんびり」を、その日の観光ルートと標高に合わせて選び分けるのが箱根の歩き方だ。箱根は登山鉄道・ケーブルカー・ロープウェイ・海賊船を乗り継ぐ街なので、食事は「降りた駅の近くで取る」のが移動の負担を減らすコツになる。以下、食べるものごとに掘っていく。


箱根湯本のランチと食べ歩き — 到着してすぐ食べるなら

箱根湯本で何を食べるか迷ったら、まず蕎麦を勧めたい。箱根は水のきれいな山あいの地で、蕎麦どころとして根づいている。箱根湯本の温泉街には蕎麦を看板にした店が多く、到着してすぐの昼に入りやすい。

蕎麦と、温泉地らしい一品

箱根の蕎麦は、山の水で打つきりっとした風味が身上だ。せいろでそばの香りを味わうのもいいし、寒い時期なら温かいかけ蕎麦で温まるのも箱根らしい。蕎麦と並んで多いのが湯葉を使った料理。豆腐や湯葉は箱根・小田原界隈で古くから親しまれてきた食材で、湯葉あんかけや湯葉丼を出す店もある。あっさりした和の一品は、温泉街を歩いたあとの体にすっと入る。

箱根湯本の食べ歩き

箱根湯本の楽しみは、駅前から続く商店街の食べ歩きだ。温泉まんじゅう、揚げかまぼこ、海鮮の串、和スイーツ——歩きながらつまめるものが途切れない。小田原が近いので干物やかまぼこといった小田原由来のものも並ぶ。坂や階段が多いエリアではないので、商店街を端から端まで歩いて、気になったものを少しずつつまむのが向いている。食べ歩きで小腹を満たしつつ、しっかりした一食は蕎麦か湯葉で取る、という配分にすると一日がきれいに流れる。

※ 写真はイメージです

食べ歩きの日に、合わせるなら

食べ歩きは、軽くて爽やかな一杯がいちばん似合う。とはいえ箱根は温泉地だから、ここで気をつけたいことがある。温泉に入ったあとや、長く歩いて汗をかいた直後の飲酒は体に負担がかかるので勧めない。のどが渇いているときは、まず水やお茶で水分を取って、食事として落ち着いて座ってから一杯を楽しむのが気持ちいい。車で来た人は、もちろん飲まない。

そのうえで、揚げものや塩気のある食べ歩きのあとに合わせるなら、果汁のはっきりしたレモンサワーをソーダで割るのがいい。私たちのクラッチュは湯河原産レモンを果汁40%使っていて、砂糖や香料を加えていない。だから余計な甘さがなく、レモンの香りと酸だけがふっと立つ。揚げものの油やかまぼこの塩気を、酸が軽く流してくれる。割り方や濃さの調整はレモンサワーの作り方10パターンを参考にしてほしい。


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強羅・宮ノ下 — 登って落ち着いて食べる一品

箱根登山鉄道やケーブルカーで強羅・宮ノ下まで登ると、食の雰囲気が変わる。美術館や老舗の宿が点在するエリアで、食事も落ち着いた一品もの、洋食、甘味が中心になる。彫刻の森美術館やポーラ美術館をゆっくり巡る日は、このあたりで腰を据えて食べるのが動線に合う。

宮ノ下のレトロな食と甘味

宮ノ下は古くからの避暑地で、クラシックな洋食やカフェの文化が根づいている。観光の合間に、ケーキやプリンといった甘味でひと息つく時間が似合うエリアだ。和の甘味なら、温泉地らしくあんみつや団子、温泉地のスイーツも楽しめる。歩き疲れたら、無理に名物を追わずに甘味で休むくらいの気持ちがちょうどいい。

強羅で腰を据える

強羅はケーブルカーの駅を中心に宿と食事処が点在する。大涌谷へ向かうロープウェイの起点でもあるので、移動の合間にしっかりした一食を取るのに向いている。和食の一品を落ち着いて味わうなら、米の旨味のある日本酒を合わせると食卓が静かにまとまる。宿の夕食で和の料理が続く日は、地酒との相性を意識すると満足度が変わる。神奈川の地酒という選択肢については、後半でもう少し触れる。


芦ノ湖 — 湖を見ながら腰を据える

芦ノ湖は箱根の奥、湖畔のエリアだ。海賊船や箱根神社の参拝とセットで、湖を眺めながらの食事になる。観光の主役と食事処が同じ場所にあるので、景色を重視して腰を据えたい日に向いている。

湖畔のごはん

芦ノ湖周辺では、わかさぎや川魚を使った料理、蕎麦、和洋の食事を湖を望む席で楽しめる店が点在する。観光のピークから少し時間をずらすと、窓際の席で静かに食べられることが多い。湖畔は風が抜けて気持ちいい反面、標高があるぶん季節によっては冷えるので、温かい蕎麦や鍋ものといった体の温まる一品が箱根らしい。

芦ノ湖の食と一杯

湖を見ながらの食事は、ゆっくり時間をかけたい場面だ。和の料理を腰を据えて味わうなら、米の旨味のある白笹鼓のような日本酒が落ち着く。ただ、ここでも温泉地ならではの注意を繰り返しておきたい。入浴の直後や、観光で歩き回った直後の飲酒は避けて、食事として座って楽しむこと。そして運転して帰る人は飲まない。湖畔の一杯は、その前提を守ってこそ気持ちよく楽しめる。

※ 写真はイメージです


仙石原 — 高原ののどかな食卓

仙石原はすすき草原で知られる高原エリアだ。箱根の中では人混みから少し離れていて、のどかな空気の中で食べたいときに足を延ばす価値がある。美術館やガラスの森といった施設の周辺に、落ち着いた食事処やカフェが点在する。

仙石原は標高が高く、夏でも涼しい。秋のすすきの季節は特に人気だが、それでも湯本や芦ノ湖ほどの混雑にはなりにくい。観光の主役を「景色とのんびりした時間」に置いた日の食事に向いている。和食でもカフェ飯でも、急がずゆっくり食べる流れがこのエリアには合う。


箱根で食べたい・買いたい名物 — 黒たまご・湯葉・甘味・みやげ

エリア別の食とは別に、箱根に来たら一度は触れておきたい名物をまとめておく。

黒たまご

大涌谷の黒たまごは箱根の名物として知られる。温泉池でゆでた卵の殻が硫黄の成分で黒くなったもので、大涌谷を訪れたときの体験としてつまむ人が多い。大涌谷はロープウェイで向かう高所なので、ここで食べるなら強羅・芦ノ湖との動線の中に組み込んでおくと回りやすい。

湯葉・豆腐

箱根・小田原界隈は湯葉や豆腐の食文化が根づいている。きれいな水で作る湯葉は、料理として食べても、みやげに持ち帰っても箱根らしい。和の食材なので、家で食べるときに日本酒を合わせると相性がいい。

甘味とみやげ

温泉まんじゅう、かまぼこ、和スイーツは食べ歩きにもみやげにも向く。食べものではないが、寄木細工は箱根を代表する伝統工芸のみやげとして根強い人気がある。みやげをどう選ぶかは「誰に渡すか」で変わる。みやげに何を選ぶかをじっくり考えたい人は、買う・贈るの具体に踏み込んだ箱根のお土産に地酒をに送りたい。この記事は「箱根で何を食べるか」に絞り、買う・贈るはそちらで掘っている。


箱根の食に、神奈川の地酒を合わせるという角度

はじめに書いたとおり、箱根に酒蔵はない。だから「箱根の地酒」と名乗れる蔵元の酒は、厳密には存在しない。それでも、箱根の食と神奈川の地酒は意外と相性がいい。理由は単純で、箱根の和の料理——蕎麦、湯葉、川魚、宿の会席——は、米の酒と合わせるために積み重ねられてきた食だからだ。

私たちの蔵がある秦野は、箱根から車でおよそ30〜50分の距離にある。丹沢の伏流水で仕込む白笹鼓は、和食に寄り添うように造った日本酒で、宿の夕食や、家に帰ってから箱根の湯葉・干物をつまむ夜に合わせやすい。箱根の宿で神奈川の地酒に出会う場面については箱根のホテルで出会う神奈川の地酒に書いた。

もう少しカジュアルな場面——食べ歩きのあと、帰りの一杯——には、クラフトリキュールのクラッチュが合う。大吟醸をベースに湯河原産レモンを果汁40%で漬けた一本で、砂糖や香料を加えていない。箱根の帰り道に秦野へ寄って、もうひとつの神奈川に触れる流れは箱根の帰り道に寄る秦野にまとめてある。神奈川の地酒全体を知りたいなら、県内14蔵を俯瞰した神奈川の地酒・酒蔵ガイドから入るのがいい。

料理ごとの細かい合わせ方、特に海の幸とレモンサワーの相性は湘南の海ごはんに合わせるレモンサワーに書いた。箱根の帰りに小田原・湯河原の海の幸をつまむ日にも使える。

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クラッチュ 湘南潮彩レモン40

クラッチュ 湘南潮彩レモン40 — 大吟醸ベースのクラフトリキュール

果汁40%・砂糖や香料を加えていません / 神奈川・湯河原産レモン100% / 25度

720ml ¥2,750・1800ml ¥4,950 / 蔵元直送・のし対応

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一日のグルメプラン — 時間帯とエリアで組み立てる

箱根は、食べるものを時間帯と標高で組み立てると一日がきれいに流れる。同行者と季節で変わるが、ひとつの型として示しておく。

時間帯 食べるもの エリア
到着・昼(11〜13時) 蕎麦・湯葉でしっかり一食 箱根湯本
午後(13〜16時) 甘味・カフェ・黒たまご 強羅・宮ノ下・大涌谷
夕方(16時〜) 湖畔の和食・川魚で腰を据える 芦ノ湖 or 宿の夕食
のんびり日 高原ごはん・カフェ飯 仙石原

ポイントは、登る前の湯本でしっかり食べ、中腹では甘味で軽くつなぎ、降りる前後の夕方にもう一度落ち着いて食べること。箱根は乗り物の乗り継ぎで移動するので、空腹のまま標高を上げると疲れやすい。昼を湯本で済ませておけば、午後の美術館巡りや大涌谷を身軽に楽しめる。宿に泊まるなら夕食は宿で取り、翌朝に湯本でみやげと最後の食べ歩きをして帰る、という流れもきれいだ。


箱根の食を、家に持ち帰る

箱根に行けない日でも、箱根の食の気分は家で少し再現できる。湯葉や干物、蕎麦は通販でも手に入るし、和の食材を並べた食卓に神奈川の地酒を一本添えれば、温泉地で食べたあの落ち着いた感じに近づく。和食でしっとり飲みたい夜は白笹鼓、揚げものや味の濃いつまみには果汁の多いクラッチュをソーダで、というふうに料理で選び分けると食卓が楽しくなる。

白笹鼓もクラッチュも、蔵元直送のオンラインストアで買える。神奈川の地酒をもっと知りたい人は神奈川の地酒・酒蔵ガイドから、レモンサワーの楽しみ方はレモンサワーの作り方10パターンから入ってほしい。


箱根グルメのまとめ

箱根で何を食べるか——答えは「エリアと標高で変える」だ。到着して湯本で蕎麦と食べ歩き、登って強羅・宮ノ下で甘味と一品、芦ノ湖で湖を見ながら腰を据え、仙石原ではのんびり。黒たまご・湯葉・寄木細工といった箱根らしいものを動線に組み込みながら、一日を流れで設計するのが楽しみ方だ。固有の名店を追いかけるより、この地図を頭に入れておくほうが、箱根の食はずっと豊かになる。

そして、箱根の和の食を楽しんだ日には、神奈川の地酒を帰り道やみやげに合わせてみてほしい。箱根に蔵はないけれど、車で30〜50分の秦野に、丹沢の水で和食に寄り添う酒を造る蔵がある。温泉に入ったあとや歩いた直後ではなく、食事として座って楽しむ一杯として。箱根の余韻に、神奈川の一杯がそっと加わる——そんな締めくくりを提案したい。


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