酒粕で奈良漬・粕漬けを漬けるなら|板粕と踏込み粕の違い・予約のこと

酒粕で漬物を漬けてみようと思ったとき、最初につまずくのが「どの酒粕を買えばいいのか」です。スーパーで板状の酒粕を買ってきて、そのまま野菜を漬けてみたけれど、思ったような奈良漬にならなかった——そんな経験のある人は少なくないと思います。

じつはこれ、酒粕の"種類"を選び間違えていることが多いのです。この記事では、漬物に向く酒粕と向かない酒粕の違いを、蔵元の立場から整理します。奈良漬のようにじっくり漬けるものと、鮭や鶏肉を数日で漬けるものとで、選ぶべき酒粕が変わる——ここが分かると、粕漬けはぐっと成功しやすくなります。

※ 写真はイメージです

目次

まず、酒粕には種類がある

酒粕は、日本酒を搾ったあとに残るもの——とひとことで言っても、状態によっていくつかの呼び名があります。ここを知らずに買うと、用途に合わないものを手にしてしまいます。

種類 状態 向く用途
板粕(いたかす) 搾ったあとの粕を板状にしたもの。白くて硬め。スーパーで多いのはこれ 甘酒・粕汁・魚や肉の粕漬け
ばら粕 板状にならず、ぼろぼろと崩れた状態のもの。溶けやすい 甘酒・粕汁・料理全般
練り粕(ねりかす) 板粕やばら粕を熟成させ、やわらかく練った状態 粕漬け全般
踏込み粕(ふみこみかす) 粕をタンクに詰めて空気を抜き、数ヶ月かけて熟成させたもの。茶色〜あめ色でやわらかい 奈良漬・本格的な粕漬け

スーパーでよく見かけるのは「板粕」。奈良漬に本来使われるのは「踏込み粕」。 この二つは、同じ酒粕でも別物と言っていいほど違います。

板粕と踏込み粕は、何が違うのか

いちばん大きな違いは、熟成しているかどうかです。

板粕は、搾りたてに近い状態。 白くて硬く、香りはフレッシュですが、味はまだ角があります。甘酒や粕汁のように「加熱して使う」用途にはぴったりですが、そのまま野菜を漬けると、粕の香りが立ちすぎたり、色がきれいに入らなかったりします。

踏込み粕は、その板粕やばら粕をタンクに詰め、足で踏み込んで空気を抜き、数ヶ月(おおむね4〜6ヶ月)寝かせたもの。 熟成することで色は茶色〜あめ色に変わり、質感はやわらかく、味はまろやかで奥行きのあるコクが出ます。この"熟成した粕"だからこそ、奈良漬のあの深い色と味が生まれます。

奈良漬が茶色いのは、着色しているからではありません。踏込み粕そのものが茶色く熟成しているからなのです。だから板粕で奈良漬に挑戦すると、いつまでも色が入らず、「奈良漬っぽくならない」ということになります。

だから、漬けるものによって選ぶ粕が変わる

ここが実用上いちばん大事なところです。漬けたいものによって、必要な酒粕は変わります。

数日で漬ける「魚・肉の粕漬け」なら、板粕でいい

鮭・銀だら・鶏胸肉・豚肉などを粕漬けにする場合は、板粕やばら粕で十分です。魚や肉は野菜より粕がなじみやすく、漬ける期間も半日〜数日と短い。踏込み粕でなくても、おいしく仕上がります。

やり方はシンプルで、酒粕に塩・みりん・少量の砂糖などを混ぜて粕床をつくり、水気を拭いた魚や肉を包んで冷蔵庫へ。鮭なら一晩〜二晩、鶏胸肉なら一晩ほどで、粕の香りとうまみがしっかり移ります。焼くときは粕を軽くぬぐってから、焦げやすいので弱めの火で。

こうした日常の粕漬けや、酒粕そのものの使い方は酒粕とは?使い方・甘酒・粕汁・美容までにもまとめています。

数ヶ月かける「奈良漬」なら、踏込み粕が要る

一方、きゅうり・大根・瓜(うり)・すいかの皮などを奈良漬にする場合は、話が変わります。奈良漬は野菜の塩漬けから始めて、粕を数回替えながら数ヶ月かけて漬け込むもの。ここで白い板粕を使うと、色も味も奈良漬になりません。

本格的に奈良漬を漬けたいなら、熟成した踏込み粕が必要です。そして踏込み粕は、板粕のようにスーパーには置いていません。熟成に手間と時間がかかるぶん、量も限られ、蔵元や専門店が扱う、少し特別な材料です。

奈良漬用の酒粕(踏込み粕)はどこで買う?

「奈良漬を漬けたいのに、スーパーの酒粕売り場を探しても見つからない」——これは当然で、スーパーや市販の酒粕売り場に並んでいるのは、ほとんどが板粕だからです。奈良漬に必要な熟成した踏込み粕は、量が限られ、扱う店も限られます。手に入れる先は、おもに次の三つです。

  • 酒蔵の直販(通販・予約):日本酒を搾る蔵は踏込み粕を持っています。蔵元から直接、通販や予約で分けてもらうのが、質・量ともにいちばん確実です
  • 奈良漬の専門店・漬物店:奈良漬を作っている店が、粕を分けてくれる場合があります
  • 一部の食品専門店・こだわりのスーパー:まれに置いていることもありますが、安定して手に入るわけではありません

いちばん確実なのは、日本酒の蔵から直接、奈良漬用に熟成させた踏込み粕を取り寄せることです。金井酒造店でも、秦野の蔵で搾った酒粕を熟成させた踏込み粕を、奈良漬用に予約でお分けしています(次回お届けは2027年5〜6月予定)。3kg・5kg・10kgの3サイズで、家庭の奈良漬づくりに必要な量をまとめてご用意できます。詳しくは下の商品案内をご覧ください。

粕床の基本と、どれくらいの量が要るか

粕床の配合は、好みの幅がありますが、基本は酒粕をベースに、塩でしめて、みりんや砂糖でまろやかにするという考え方です。魚・肉なら塩を効かせ気味に、野菜の浅漬けなら控えめに。酒を少し加えると伸びがよくなります。使い回すうちに水が出てゆるくなるので、粕を足しながら育てていきます。

見落としがちなのが量です。漬物をしっかり漬けるには、思っている以上に粕が要ります。 野菜を埋めるだけの粕床が必要なので、500gでは一度の少量の粕漬けで使い切ってしまう。奈良漬のように何度も漬け替えるなら、キロ単位で用意するのが現実的です。ここが、家庭で奈良漬を始める人が最初に驚くところです。

金井酒造店の酒粕 — 用途で二つ

私たちは秦野で日本酒を醸している蔵で、その副産物として酒粕をお分けしています。用途に合わせて二つご用意があります。

① 板粕・500g(通年・すぐ届く)

甘酒・粕汁・魚や肉の粕漬け用には、蔵元直詰の板粕を通年でお届けしています。搾ったそのままを詰めた、造り酒屋のしぼりたてです。まずは鮭や鶏を漬けてみたい、という方はこちらから。

蔵元直詰 秦野の酒粕(板粕・500g)

蔵元直詰 秦野の酒粕(板粕)

甘酒・粕汁・魚や肉の粕漬けに。造り酒屋のしぼりたてを蔵から直送、通年ご用意。
500g ¥540(税込・送料別)

秦野の酒粕を購入する →

② 踏み込み粕(奈良漬用・予約制)

そして、奈良漬や本格的な粕漬けのための踏み込み粕。こちらは自蔵の酒を搾った粕を踏み込み、時間をかけてじっくり熟成させたものです。熟成が進むことで、できたての酒粕とはちがう、まろやかで奥行きのある味と、あめ色の深い色合いになります。熟成に時間がかかるため、ご注文をいただいてから仕込む予約制で、次回分のお届けは2027年5〜6月を予定しています。

家庭で漬ける量に合わせて、3サイズをご用意しました。奈良漬をひと樽なら3kg、しっかり漬けたいなら5kg、複数樽・本格派には10kg、が目安です。

踏み込み粕(奈良漬用・熟成酒粕)

踏み込み粕(奈良漬用・予約制)

酒蔵で生まれた酒粕を、じっくり熟成させた奈良漬・本格粕漬け用。数量に限りがあります。

3kg ¥2,160(税込)
5kg ¥2,700(税込)
10kg ¥4,860(税込)

送料別/ご予約時のお支払い(前払い)/次回お届け 2027年5〜6月予定

踏み込み粕を予約する →

※ お酒など他の商品と一緒にご注文いただくと、2027年5〜6月の同時発送になります。先に受け取りたい商品がある場合は、分けてご注文ください。

踏み込み粕は数量に限りがあり、予約の受付期間も限られます。 今期の受付が終わっている場合や、次回分の予約開始を知りたい方は、下のフォームからご登録ください。受付開始のご案内のほか、酒粕・甘酒の使い切りレシピや蔵の季節の便りもお届けします。

次回の予約開始を、メールでお知らせします

踏み込み粕(奈良漬用・予約制)の受付開始をご案内します。あわせて、酒粕・甘酒の使い切りレシピや季節の便りも無料でお届けしています。

お知らせを受け取る(無料)→

※ 登録時に「メールマガジンを受け取る」にチェックを入れてください。

まとめ

酒粕で漬物を漬けるなら、まず「板粕」と「踏込み粕」の違いを知ることが近道です。

  • 鮭・鶏・豚などの粕漬け(数日) → 板粕・ばら粕でOK。すぐ始められる
  • 奈良漬(数ヶ月) → 熟成した踏込み粕が必要。量もキロ単位で

スーパーの白い板粕で奈良漬に挑戦して「色が入らない」と悩んでいた方は、粕の種類が理由だったかもしれません。まずは板粕で魚や肉の粕漬けから始めて、本格的に奈良漬を漬けたくなったら、熟成した踏込み粕を——という順番がおすすめです。

漬けものの作り方(詳しい手順)

酒粕そのものの楽しみ方は酒粕とは?使い方・甘酒・粕汁・美容まで、甘酒にするなら酒粕甘酒の作り方|蔵元の黄金比レシピもどうぞ。

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