企業版ふるさと納税に返礼品がないのはなぜ?酒蔵と組む地域貢献との違い
Share
会社として地域に何か貢献したい。そう考えて企業版ふるさと納税を調べはじめると、途中で「あれ?」と手が止まるところがあるかもしれません。個人のふるさと納税のような返礼品が、企業版にはない。それどころか、見返りそのものが禁止されている。
このページでは、まず企業版ふるさと納税がどういう制度なのかを、内閣府などの公式資料だけで確かめます。そのうえで、秦野の酒蔵・金井酒造店が企業と結んでいる「共醸パートナー」という年間契約との違いを、目的と向き不向きから並べてみます。どちらが得か、という話ではありません。目的がちがうので、合う会社もちがう——そういう比べ方をしてみたいと思います。
※ 写真はイメージです
共醸パートナーは、個人と法人でプランが分かれています
- 個人の方はこちら → 個人プラン(応援プラン・限定酒プラン)の紹介(準備中)
- 法人の方はこちら → 法人向けの3つのプラン/申込・相談フォーム
目次
企業版ふるさと納税は「見返りを受け取らない」ことが前提の制度
正式な名前は「地方創生応援税制」。所管は内閣府の地方創生推進事務局です。自治体が国の認定を受けた地域再生計画に位置付けた地方創生の事業に、企業が寄附をすると、法人関係税が軽くなる仕組みになっています。
軽くなる幅はかなり大きく、損金算入でおよそ3割、そこに税額控除が最大6割。合わせて寄附額の最大約9割が軽減され、企業の実質的な負担は約1割まで下がる、と内閣府の制度概要には書かれています。
条件もいくつかあります。目安としては、次のあたりを押さえておけば大きく外れないはずです。
- 寄附は1回10万円以上から
- 本社(地方税法の「主たる事務所又は事業所」)がある自治体への寄附は対象外
- 東京都と、地方交付税の不交付団体で三大都市圏の既成市街地などにある市区町村は、制度の対象外
- 税額控除の特例は、令和7年度の税制改正で令和9年度まで3年間延長
そして、この制度のいちばんの特徴が「寄附の代償として、自治体が企業に経済的な利益を渡してはいけない」というルールです。地域再生法施行規則の第13条で決められていて、内閣府は寄附を検討する企業向けに、何がだめで何が許されるのかを一問一答の資料にまとめています。
| 禁止されている見返りの例 | 禁止されていない例 |
|---|---|
| 寄附を理由にした補助金の交付/入札や許認可での便宜/商品券など換金性の高い商品の提供/寄附でつくった施設を専属的に使わせること など | 感謝状の贈呈/自治体のホームページや広報誌で、ほかの寄附者と並べて社名を紹介すること/施設の銘板に社名を並べること/社会通念上許される範囲の記念品 |
「返礼品がない」のは、制度の手落ちではなく設計そのもの。寄附はあくまで地域の事業のためのお金で、そこに取引の色がつかないよう、はっきり線が引かれているわけです。
※ 制度の内容は2026年9月19日に、内閣府地方創生推進事務局「企業版ふるさと納税ポータルサイト」の制度概要・税制改正資料・見返りに関する解説、神奈川県と秦野市の案内ページで確認しました。最新の条件は内閣府のポータルサイトでご確認ください。
見返りがないのは、そういう約束の上に成り立っている制度だから。
「メリットがない」のではなく、メリットの種類がちがう
見返りが禁止されている、と聞くと「じゃあ会社にとって何がいいの?」と思うのも自然なことだと思います。
公式の資料が挙げている企業側のメリットは、ひとつは先ほどの税の軽減。もうひとつは、社会貢献に取り組む企業としてのPR効果です。自治体が寄附を受けた事業と一緒に社名を紹介することは認められているので、「この地域のこの取り組みを支えた会社」として名前が残ります。
だから、たとえばこんな会社には、企業版ふるさと納税がよく合うはずです。
- 応援したい自治体と、その自治体が進めている事業がはっきりしている
- 税の軽減効果を活かして、なるべく大きな額を地域に届けたい
- 見返りは求めず、寄附そのものを社会貢献として位置付けたい
逆に、「地域の誰かと一緒に何かをつくりたい」「関わった手ごたえを、形として受け取りたい」という気持ちが強いと、制度の設計と少しずれるかもしれません。見返りを受け取らないことが前提の仕組みなので、そこを求めるのは筋がちがう、というだけの話です。
いい悪いではなく、目的に合うかどうか。
酒蔵と組むという、もうひとつの地域貢献
ここからは、金井酒造店の話を少しさせてください。
わたしたちは神奈川・秦野で、明治元年から約160年、酒を造ってきました。仕込み水は丹沢山系の伏流水で、蔵の井戸から地下約80mの水を汲み上げています(秦野の水の話はこちら)。
ただ、一本のお酒は酒蔵だけでは醸せません。生産農家、地下水、里山、自然、地域、そして酒を楽しむ人。全部がつながって、はじめて一本になります。
その考えを企業との関係に広げたのが「共醸パートナー」です。共醸とは、共に想いを持ち、共に地域を守り、共に未来をつくること。企業も農家も地域もわたしたちも、立場はちがっても「同じ未来を見ている仲間」で、金井酒造店はそのつなぎ役でいたい——そういう名前です。
※ 写真はイメージです
仕組みとしては、自治体への寄附ではなく、金井酒造店と企業が結ぶ年間契約です。契約書を交わし、年間契約料としてお支払いいただきます。期間は締結日から1年で、お申し出がなければ同じ条件で1年ずつ更新されます。
企業版ふるさと納税とは別の制度の話なので、あちらの「見返り禁止」のルールとは土台がちがいます。何をお渡しするかは、契約の内容として決めるものです。
寄附ではなく、酒蔵と組む契約。
並べてみると、こうなる
ふたつを横に並べると、ちがいが見えやすいと思います。
| 企業版ふるさと納税 | 共醸パートナー(法人) | |
|---|---|---|
| 相手 | 自治体(地域再生計画の事業) | 金井酒造店(秦野の酒蔵) |
| かたち | 寄附(1回10万円以上) | 年間契約(年30万・50万・90万円、税別) |
| 見返り | 経済的な見返りは禁止(感謝状・社名紹介などは可) | プランごとの内容を契約で定める(詳細はお問い合わせください) |
| 税・経理 | 法人関係税が最大約9割軽減(内閣府) | 顧問の税理士にご確認ください |
| 期間 | 寄附ごと(税額控除の特例は令和9年度まで) | 締結日から1年・自動更新 |
税の扱いについては、共醸パートナーの契約料が経理上どう扱われるかを、このページでは書いていません。会社ごとに事情がちがうので、顧問の税理士さんに確認していただくのがいちばん確実です。
TSUGU・MUSUBU・TSUKURU — 法人向けの3つのプラン
法人向けは、枠の数で3つに分かれています。
- TSUGU 継ぐプラン——年30万円(税別)・1枠
- MUSUBU 結ぶプラン——年50万円(税別)・2枠
- TSUKURU 創るプラン——年90万円(税別)・4枠
年度の途中からでも参加していただけます。プランごとの具体的な内容(特典)の詳細は、お問い合わせください。「どのプランが合うのか、まず相談したい」という段階でも大丈夫です。
決める前に、まず話を聞くところからで構いません。
CSR・地域貢献の取り組みとして、どう説明できるか
CSR活動の取り組み事例を探していると、単発の寄付やイベント参加の話が多く出てきます。共醸パートナーはそれとは少しちがって、1年ごとの契約というかたちをとっています。社内で説明するときは、このちがいがそのまま説明のしやすさになるかもしれません。
説明に使えるところを、確定している範囲だけで並べてみます。
- 年間契約であること——金井酒造店と契約書を交わし、年間契約料としてお支払いいただきます。年度の予算や稟議に乗せやすく、社内の報告でも「今年度の取り組み」として区切って書けます。
- 形として残るもの——契約書と請求書が残ります。プランごとの内容(特典)は契約のなかで定めるもので、詳細はお問い合わせください。
- いつ何があるか——契約は締結日から1年。満了の1か月前までにお申し出がなければ、同じ条件でもう1年続きます。年度の途中からでも参加していただけます。
- つながる相手——神奈川・秦野で明治元年から約160年続く酒蔵と、続けて関わっていくことになります。一本の酒は、生産農家や地下水や里山や地域とつながって生まれるものなので、関わる先は蔵だけではありません。
この取り組みを社内で何に位置付けるか——CSRなのか、地域連携なのか、広報なのか——は、会社によって答えがちがうところだと思います。わたしたちから「これはこういう評価につながります」と言えることはありません。そこは各社で決めていただくものとして、判断に必要なことがあれば、お問い合わせのときに聞いてください。経理上の扱いについては、顧問の税理士にご確認ください。
説明のしやすさは、契約というかたちから生まれる。
どちらを選ぶか — 向き不向きで考える
最後に、もう一度整理しておきます。
応援したい自治体の事業がはっきりしていて、税の軽減を活かして地域にお金を届けたいなら、企業版ふるさと納税がきっと合います。見返りを求めない、という制度の考え方そのものが、会社の姿勢として伝わるかもしれません。
一方で、地域の酒蔵と長く付き合いながら、一本の酒の向こうにある水や土地や人とのつながりに関わりたい——そういう関わり方を探しているなら、共醸パートナーという選択肢もあります。どちらか一方でなければいけない、ということもありません。
蔵がどんな場所で、なぜ酒を造り続けているのかは、金井酒造店という蔵のことに書いています。取引先への贈りものとしてお酒を考えている場合は、法人ギフトに日本酒を選ぶも参考になるかもしれません。個人で関わりたい方向けのプランは、個人プランの紹介(準備中)でまとめています。
地域に関わる方法はひとつではない。合うほうを、合うかたちで。
地域貢献のやり方から見比べる
共醸パートナーは、個人と法人でプランが分かれています
- 個人の方はこちら → 個人プラン(応援プラン・限定酒プラン)の紹介(準備中)
- 法人の方はこちら → 法人向けの3つのプラン/申込・相談フォーム